韓国大統領の弾劾審理 国会側「戒厳令は重大な憲法違反」と批判

2025/01/17 00:59 

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 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による「非常戒厳」宣布を巡り、尹氏の罷免の是非を判断する審理の第2回弁論が16日、憲法裁判所であった。15日に捜査当局に逮捕された尹氏は審理を欠席。尹氏の弾劾訴追案を可決した国会側は、尹氏の戒厳令宣布を「法治国家の原則に対する全面的な攻撃で、重大な憲法違反行為だ。独裁政治を宣布したのと変わらない」と批判した。

 尹氏の弾劾訴追案を可決した国会側代理人のキム・ジンハン弁護士は戒厳令は「非常時において独裁政治と類似した権力集中を許容するため、要件が厳格に規定されている」と述べ、宣布は大統領の自由裁量ではないと強調した。更に、宣布の際の文書手続きや国会通知義務を怠ったとも指摘。戒厳令下で唯一解除要求ができる国会に対して軍を投入し「国会機能をまひ」させようとしたことは、「憲法秩序を乱す行為だ」と訴えた。

 国会の訴追委員を務める「共に民主党」の鄭清来(チョン・チョンレ)議員は尹氏が今も戒厳令を正当化する談話を発表するなど、「再び非常戒厳を宣布するかもしれないと疑われるに十分な言動を続けている」と指摘。「国内の混乱状態を一日も早く収束させる必要がある」とし、迅速な審理進行を求めた。

 尹氏側は国会多数派の野党が、政府幹部や検事などを相次いで弾劾しようとする「国家危機」だったと主張。国会への軍投入は限定的で、戒厳令解除要求にも応じていることから「国会の権能を停止させたり、国民に被害も与えたりしてもいない」と訴えた。憲法裁は2月13日までの期日も新たに決定した。【ソウル日下部元美】

毎日新聞

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