韓国大統領、「徹底抗戦」続ける 取り調べ拒否、逮捕の不当性を訴え

2025/01/16 20:26 

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 内乱容疑などで逮捕された韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は16日、高官犯罪捜査庁(高捜庁)の検事による2日目となる取り調べに応じなかった。尹氏の弁護団は高捜庁に対し、逮捕が不当だとする尹氏の立場に変わりはないと説明した。尹氏側は、逮捕の適否を判断する審査をソウル中央地方裁判所に請求するなど「徹底抗戦」を続けている。

 尹氏は15日午前に逮捕された後、ソウル近郊の京畿道果川にある高捜庁の庁舎に移送された。高捜庁は、尹氏による昨年12月3日の「非常戒厳」の宣布について、尹氏を「内乱の首謀者」と位置づけており、200ページ超の質問書を準備。休憩を挟んで約8時間にわたり尹氏を取り調べた。だが尹氏は黙秘権を行使し、一貫して供述を拒否した。

 尹氏は取り調べ終了後、15日夜に車で10分ほどの距離にあるソウル拘置所に移送され、一夜を過ごした。韓国メディアによると、現職大統領が拘置所に収容されるのは初めて。尹氏は約10平方メートルの独房で生活しているという。

 高捜庁は16日も午前から取り調べる意向だったが、尹氏側は拒否。聯合ニュースによると、尹氏の弁護団は「尹大統領の健康状態が良くなく、昨日十分に立場を表明した」と説明した。高捜庁は取り調べを無理に急がず、近く尹氏を引き続き拘束するための令状をソウル西部地裁に請求する方針だ。裁判所が令状を発付すれば、尹氏は起訴まで最長で20日にわたり拘束される。

 一方、ソウル中央地裁は16日、尹氏側の請求を受け、逮捕の適否を判断する審査を実施した。早ければ16日にも判断を示すとみられる。16日の審査には高捜庁の検事と尹氏の弁護団が出席した。尹氏側の石東炫(ソク・ドンヒョン)弁護士は審査前、記者団に「逮捕状の請求や発付が法に反していると説明する」と述べた。

 さらに尹氏の弁護団は16日、尹氏への逮捕状執行を指揮した高捜庁トップの呉東運(オ・ドンウン)庁長を内乱容疑で告発したと発表するなど、逮捕の「違法性」を訴える動きを継続している。

 高捜庁は、拘束の継続に関する令状を逮捕(15日午前10時33分)から48時間以内に裁判所に請求しない場合、尹氏を釈放しなければならない。ただ、ソウル中央地裁が逮捕の適否を判断する審査のための捜査資料を受け取り、判断を終えて資料を返還するまでの時間は、この48時間に含まれない。高捜庁は捜査資料を16日午後2時3分ごろ、ソウル中央地裁に提供したと発表した。【果川(韓国北西部)福岡静哉】

毎日新聞

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