トランプ氏、関税の初日発動は見送りか 就任演説では引き上げ強調

2025/01/21 11:34 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 トランプ米大統領は20日の就任演説で、「米国の労働者と家族を守るため、貿易システムの見直しに着手する。他国を富ませるため自国民に課税するのではなく、自国民を富ませるために他国に課税する」と述べ、大統領選で訴えた関税引き上げを進めていく考えを強調した。ただ、相手国や関税率などに関する具体的な言及はなかった。米メディアによると、政権発足初日の関税発動は見送られる見通しだ。

 また、トランプ氏はホワイトハウスで記者団に対し、メキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を課す方針を改めて示し、2月1日の発動を検討していると明かした。不法移民や合成麻薬が米国に流入していることの対抗措置として、昨年11月に関税を課すと明言していた。

 就任演説でトランプ氏は、関税を徴収する専門機関「外国歳入庁」を新設すると表明。「外国からもたらされる巨額の資金が国庫に注ぎ込まれるだろう」と述べ、大型減税を予定する所得税や法人税の減収分の代わりに、関税引き上げによる増収で財政を維持する考えを示した。

 トランプ氏は米国の巨額の貿易赤字を問題視しており、大統領選では国内製造業を守るための大幅な関税引き上げを公約。全ての国の輸入品に対し一律10~20%、中国からの輸入品に対しては一律60%の関税を課す考えを示していた。

 ただ、大幅な関税引き上げは米国内の物価上昇(インフレ)を再燃させる恐れがある。トランプ政権内では対象品目を絞ったり税率を段階的に引き上げたりする案なども浮上している。【ワシントン大久保渉】

毎日新聞

国際

国際一覧>