米「パリ協定」離脱 民間財団が拠出金の「穴」補塡へ
米ブルームバーグ財団は23日、気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」から米トランプ政権が離脱することで生じる拠出金の穴を補塡(ほてん)すると発表した。声明で「米国民は、気候変動がもたらす壊滅的な影響と闘う決意を固めている」とし、州政府や民間セクターが主導して国際社会への義務を果たすと強調した。
声明では、資金拠出は米国内の他の提供者と協力するとしたが、額の詳細などは明らかにしていない。実際にどの程度補塡できるかは不透明だ。
同財団は、実業家で元ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ氏が創設した。ブルームバーグ氏は、気候変動問題に関するグテレス国連事務総長の特使も務めている。
トランプ米大統領は就任初日に署名した大統領令で、1期目に続いてパリ協定からの離脱を命じるとともに、母体である国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)に基づくあらゆる財政支援を中止・撤回するとした。
米国は条約事務局の予算のうち、締約国で最大の約2割を負担している。また、パリ協定では先進国から途上国への資金支援が求められており、2024年に米国は全体の1割に相当する約110億ドル(約1兆7160億円)を拠出した。
UNFCCCのスティル事務局長は寄付の申し出を受け、「パリ協定の約束を実行し、低排出で強じんかつ安全な未来の実現を支援するために不可欠だ」と謝意を示した。
米国では、州政府や企業など5000以上の組織の連合体「アメリカ・イズ・オール・イン」(米国は全力を尽くす)が、トランプ政権発足後もパリ協定に沿った気候対策の継続を誓約している。【ニューヨーク八田浩輔】
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