トランプ政権、ウクライナに「クリミアをロシア領に」と提案 米報道

2025/04/21 21:45 

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 米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は20日、トランプ政権がロシアの侵攻を受けるウクライナに対し、ロシアが実効支配するウクライナ南部クリミア半島を米政府がロシア領として承認することなどを含む戦争終結に向けた提案を行ったと報じた。ウクライナ側の回答を待っており、今週ロンドンで開かれる米国やウクライナ、欧州による協議で話し合われる見通しだ。

 報道によると、提案にはウクライナが北大西洋条約機構(NATO)に加盟しないことも盛り込まれている。一方、米国務省高官はWSJに、提案は受け入れるか否かの「二者択一」ではなく、あくまで検討のための「選択肢」だと説明。米国とウクライナや欧州が一致できれば、今後ロシア側にも提示される可能性があるという。ただウクライナはこれまで領土の分割を否定しており、協議は難航も予想される。

 トランプ米大統領は20日、自身のソーシャルメディアで、停戦交渉を念頭に「ロシアとウクライナが今週に合意を結ぶことを願う」と投稿。双方に今週中の合意を求めた上で「そうなれば、米国と大きなビジネスを始め、巨万の富を築ける!」と主張した。トランプ氏は双方が歩み寄らずに停戦が実現しない場合は、仲介から手を引く可能性を示唆している。

 報道によると、米側は17日にフランス・パリでウクライナに案を提示し、欧州にも共有された。米側はロシアが占拠するウクライナ南部のザポロジエ原子力発電所の地域を「中立地」とすることも提示しており、米国の管理下に置かれる可能性がある。

 トランプ氏はウクライナ情勢について「就任後24時間以内」に決着をつけるなどと豪語してきたが、交渉は難航している。最近はいらだちを強めているとみられ、18日にはどちらか一方が停戦を困難にしている場合「『あなたは愚かだ』と言って、(仲介から)手を引くだけだ」などと語っていた。【ワシントン松井聡】

毎日新聞

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