将棋大賞表彰式、藤井聡太名人「底上げを」と抱負語る

2025/04/21 17:37 

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 第52回将棋大賞表彰式が21日、東京都渋谷区の将棋会館で行われ、最優秀棋士賞を受賞した藤井聡太名人(22)らが出席した。藤井名人は式典後、記者団の取材に応じ、「昨年度は出来不出来の差が大きく、完敗といえる内容のものも多かった。全体的に内容を底上げして一方的な展開にならないことを意識していければと思う」と2025年度の抱負を語った。

 ◇敗局が受賞「むしろ救われる」

 藤井名人は他に、叡王位を奪われた叡王戦五番勝負第5局で名局賞、NHK杯将棋トーナメント準決勝で名局賞特別賞も受賞している。

 叡王戦については「敗れた将棋ではあるが、非常に判断の難しい局面が続いた。伊藤匠叡王に1分将棋の中で正確に読み切られ、中終盤力を強く感じた。(敗戦局が選ばれて)むしろ救われるといったら変だが、結果にかかわらず内容を評価してもらえるのはうれしい」。

 NHK杯については「終盤戦が長く、負けといえるような状況が少なからずあった。スリリングな展開を見た方に楽しんでもらえたということかなと受け止めている」と振り返った。

 ◇佐藤九段「升田先生にくすっと笑ってもらえる」

 独創的な戦法を顕彰する升田幸三賞は、佐藤天彦九段(37)の「6六角型向かい飛車」が受賞した。佐藤九段は式典でのあいさつで「まだまだ意義を認められているとも言い難く、マネする棋士もいないこの戦法で憧れの賞を受賞できた」と自虐を交えて喜んだ。

 さらに続けて、率直な思いを口にした。

 「僕自身は楽しく並べていて思い付いた。指している棋士自身が楽しむということも、将棋を楽しんでいるアマチュアの人たちに見ていただく中では大変重要な意義がある。うれしく感じている私自身を升田先生にくすっと笑っていただけるのではないか」【丸山進】

 他の将棋大賞の受賞者は以下の通り。

 優秀棋士賞=伊藤匠叡王▽敢闘賞=永瀬拓矢九段▽新人賞=岡部怜央五段▽最多対局賞=岡部五段(63局)▽最多勝利賞=岡部五段(49勝)▽勝率1位賞=服部慎一郎七段(8割4分3厘)▽連勝賞=藤本渚六段・岡部五段(17連勝)▽最優秀女流棋士賞=福間香奈清麗▽優秀女流棋士賞=西山朋佳白玲▽女流最多対局賞=加藤桃子女流四段(53局)▽女流名局賞=白玲戦七番勝負第1局(西山白玲―福間清麗)▽東京将棋記者会賞=青野照市九段

毎日新聞

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