4州全面割譲の取り下げ示唆 プーチン氏、米和平案次第で 英紙報道

2025/04/23 11:25 

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 米国、ウクライナ、英国、フランスは23日、ロンドンで政府高官による会合を開き、ロシアの侵攻を受けるウクライナの停戦に向け、具体策を協議する。ウクライナ南部クリミア半島をロシア領として米国が認める米国の和平案などを議論する。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は22日、ロシアのプーチン大統領が現在の前線で戦闘を停止し、これまで要求してきたウクライナ東部・南部4州の全面割譲などを巡り、米国に条件次第で一部妥協する可能性があることを示したと報じた。

 米国の和平案は、クリミア半島を米政府がロシア領として承認▽ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)加盟を断念▽南部ザポリージャ原発周辺を「中立地」とする――などの内容。

 これまでロシアは露軍が広域を占領したウクライナ東部のドネツク、ルハンスク、南部のザポリージャ、ヘルソンの計4州の全面割譲を求めてきた。だがFTによると、プーチン氏は今月11日、米政府でロシア側との交渉を担当するウィットコフ中東担当特使と露北西部サンクトペテルブルクで会談した際、4州の全面割譲の要求を取り下げる用意があることを示唆した。米国の和平案が実現した場合などに、割譲範囲を現在の占領地域に限定するなどの可能性があるという。

 一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は22日、記者団に「停戦が実現した場合、プーチン氏と直接協議する用意がある」と首脳会談に意欲を示した。ただ、「米国から正式な提案は受けていない」としたうえで、「クリミア半島の割譲は認めない。ウクライナの憲法に違反し、議論の余地もない」と述べた。

 FTによると、ロンドンの会合で米国は、停戦後に欧州が平和維持部隊とは別に、停戦監視部隊をウクライナの前線付近の非武装地帯に派遣する案を提示するとみられる。ウクライナの複数の政府高官は同紙に「(非公式で提示された)米国の提案の中には、受け入れ可能なものがある」と語った。

 会合にはルビオ米国務長官が出席を取りやめ、ケロッグ・ウクライナ担当特使、ウクライナのイエルマーク大統領府長官らが出席する。ウィットコフ氏は今週後半にロシアを訪問し、プーチン氏と会談するとみられる。

 また欧州外交筋によると、26日にバチカンで予定されるフランシスコ・ローマ教皇の葬儀に合わせ、参列するトランプ米大統領とゼレンスキー氏、欧州首脳による停戦に向けた会合が開かれる可能性がある。【ブリュッセル宮川裕章】

毎日新聞

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