クルスク奪還作戦、北朝鮮兵1万人以上が参戦か ロシア派兵で死者も

2025/04/28 10:42 

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 北朝鮮国営の朝鮮中央通信は28日、ロシアによるウクライナ侵攻を巡り、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が北朝鮮軍に参戦を命じていたと報じた。北朝鮮がウクライナ戦線への派兵を公式に認めたのは初めて。ロシア西部クルスク州でウクライナ軍の越境攻撃に反撃するのが目的だったとしている。金氏は「犠牲になった軍人たちの墓碑」に花が手向けられると述べ、参戦で死者が出たことを認めた。

 同通信は、有事の際の相互軍事支援などを規定する露朝の「包括的戦略パートナーシップ条約」(2024年6月締結)に基づき、金氏が派兵を決めたと伝えた。金氏は「両国間の伝統的な親善団結をさらに盤石のように固め、両国の発展と繁栄を担保するための聖なる使命だ」と強調した。

 米当局などは、クルスク州で1万人以上の北朝鮮軍が参戦したことを確認していた。露軍のゲラシモフ参謀総長も26日、クルスクでウクライナ側の掌握地域を完全奪還したとプーチン露大統領に報告した際、北朝鮮軍の参戦を認めていた。

 北朝鮮の海外派兵の歴史に詳しい聖学院大の宮本悟教授によると、北朝鮮が友好国などを支援するため派兵した後に、その事実を公表した例はベトナム戦争、第4次中東戦争などがあるが、少ない。宮本教授は「クルスク奪還作戦が終わりロシア側が北朝鮮軍の参戦を認めたので、北朝鮮も派兵を認めたのだろう」と指摘した。【福岡静哉】

毎日新聞

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