トランプ氏、カナダを「51番目の州に」 カーニー首相との初会談で

2025/05/07 09:52 

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 トランプ米大統領は6日、カナダのカーニー首相とホワイトハウスで会談した。トランプ氏は会談の冒頭で、カナダへの敬意を強調しつつも、カナダが「51番目の州」になるべきだとの持論を展開。カーニー氏は「カナダが売り物になることは決してない」と反論したが、トランプ氏は「決してないとは言えない」などと引き下がらなかった。トランプ氏と3月に就任したカーニー氏が対面で会談するのは初めて。

 トランプ氏はカナダのトルドー前首相を「知事」などと皮肉ってきた。カナダ国内ではトランプ氏への反発が高まっており、カーニー氏率いる中道左派の自由党は「反トランプ」の機運を追い風に4月下旬の総選挙で第1党を維持した。

 トランプ氏は会談で総選挙に触れ、「素晴らしい選挙だった。カナダは才能があり、素晴らしい人を選んだ」などと持ち上げた。ただ、「51番目の州」発言について聞かれると、カナダが大規模な減税や軍事面での恩恵を受けられるとし、「素晴らしい結婚になる」と主張した。これに対してカーニー氏は「不動産では決して売らない場所がある。ここ(ホワイトハウス)もそうだ」と切り返した。

 カーニー氏は会談後にワシントンで記者会見し、トランプ氏に「51番目の州」と呼ぶのをやめるよう直接伝えたと明らかにした。

 関税を巡る両国の交渉も難航しそうだ。トランプ氏は会談冒頭で記者団に対し、カナダへの関税引き下げの可能性について「ない」と明言。理由について「それが現実だ」としか説明せず、強硬姿勢を続ける構えを示した。

 トランプ氏は「我々はカナダ産の車を必要としておらず、関税を発動した。いずれかの時点でカナダで車を生産することが経済合理性を欠くようになるだろう」と述べ、関税引き上げによりカナダにある自動車工場の米国への移転を促す考えを改めて表明。「カナダ産の鉄鋼やアルミニウムも不要だ」と強調した。

 トランプ政権はカナダを含む全ての国から輸入する自動車と鉄鋼・アルミに原則25%の関税を発動。日米欧の大手自動車メーカーは、事実上ゼロ関税で輸出入できる「米国・メキシコ・カナダ協定」を前提に3カ国一体で生産計画を立てており、カナダにも多くの工場を設けている。

 トランプ政権はこれらの品目別関税とは別に、カナダとメキシコに対しては「合成麻薬の流入対策に不備がある」として原則25%の制裁関税を発動している。カナダも米国から輸入する自動車などに報復関税を発動している。

 カーニー氏は記者会見で、「米国とカナダの関係を再定義するプロセスが始まったばかり」とも述べ、関税をめぐる早期の妥結には慎重な見方を示した。両氏は6月中旬にカナダで開かれる主要7カ国(G7)首脳会議での再会を確認したという。【ワシントン松井聡、大久保渉、ニューヨーク八田浩輔】

毎日新聞

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