◇○巨人６―４阪神●（７日・東京ドーム）

　前日の敗戦で首位を明け渡し、大黒柱の４番・岡本和真もけがで離脱した。連覇を狙う巨人の危機的な状況を救ったのは、代わって１軍に緊急昇格したベテランの坂本勇人だった。

　同点で迎えた四回２死一塁で打席へ。「つなぐ気持ちだった」と阪神・門別啓人のインコースに食い込むスライダーにうまく反応した。高々と上がった打球は左翼線に落ち、今季初の長打は勝ち越し適時二塁打となった。ヒーローインタビューで「僕らしいレフト線へのツーベースだった」と笑顔で語った。

　１９年目の今季は開幕から不振で打率１割台前半だったため、４月１５日に２軍降格となった。それでも「もっと野球がうまくなりたい」とフォームの改良に取り組み、１軍復帰に備えてきた。

　岡本の離脱により、今季本塁打ゼロの吉川尚輝をチームの第９２代４番に据えたが、４打数無安打だった。

　かつて４番を担った経験を持つ坂本だからこそ、その重圧を理解している。「どういう形でも貢献したい。（岡本）和真がいない分、みんなでカバーしてやろうと戦っている」。精神的支柱も担う３６歳の闘志の火は、まだまだ燃えている。【牧野大輔】