ドローンが露軍機破壊 ウクライナが映像 「クモの巣作戦」成果強調
ウクライナ保安庁は4日、ウクライナ軍が1日にロシア各地の空軍基地4カ所を無人航空機(ドローン)で攻撃した「クモの巣作戦」の映像を、ウェブサイトで公開した。保安庁は、この作戦で露軍の爆撃機など41機を攻撃し、大部分が修復不能の状態に陥ったとしている。露軍の損失額を70億ドル(約1兆円)以上と見積もった。
作戦ではドローン117機が使用された。ウクライナ軍はドローンをトラックに積み込み、露国内の奥深くまで侵入した。基地の近くで荷台上のコンテナの屋根を遠隔操作で開き、攻撃目標に向けて発進させたという。
比較的安価なドローンによる攻撃で、敵の高価な兵器を破壊し、巨額の損害を与えられることを再認識させた。ウクライナメディアは「ロシアの遠隔地までを覆うような広範囲の作戦のため」と命名の由来を伝えている。
◇露軍の防空能力のもろさ
保安庁によると、映像はウクライナ軍のドローンが、ロシアの北部ムルマンスク州オレニヤ、西部イワノボ州イワノボ、西部リャザン州ディアギレボ、東シベリア・イルクーツク州ベーラヤの4基地で撮影した。
いずれも、露軍がウクライナ各地を巡航ミサイルなどで攻撃する際の、爆撃機の発着拠点だという。映像では、攻撃を受けて駐機中の軍用機が炎に包まれる様子などが映されている。
保安庁は、損害を与えた敵機としてA50早期警戒管制機、TU95戦略爆撃機、TU22超音速戦略爆撃機などを挙げた。巡航ミサイルを搭載する軍用機の34%を破壊したとしている。
一方、北大西洋条約機構(NATO)は4日、今回の作戦で露軍機40機以上が損害を受け、うち10~13機が破壊されたのを確認したと公表した。
NATO高官は「攻撃による被害で露軍の巡航ミサイルによる攻撃能力、早期警戒能力が一定程度低下したとみられる。露軍の防空能力の脆弱(ぜいじゃく)性が露呈した」と分析する。
◇長距離攻撃機が集中
ウクライナのゼレンスキー大統領は、作戦の計画に1年半かけたと明かした上で、ロシアが一時停戦に応じていれば、この作戦は遂行しなかったとしている。
ロシアの複数の軍事専門家はソーシャルメディアで、露軍が長距離攻撃に用いる多数の重要な軍用機を特定の場所に集中させていたと指摘し、ドローン攻撃に対する露軍の防御意識の低さを批判している。
ただ、NATO高官によると「敵ドローンに対する防御のために爆撃機を分散させると攻撃時の効率が低下し、軍のコストが増す」という。
◇AIで半自律的な攻撃
ウクライナ、ロシア両軍はドローンの機能向上でしのぎを削っている。
NATOのまとめでは、ウクライナ領に侵入する露軍の攻撃ドローンをウクライナ軍が妨害電波などで無力化した比率は、2月の98%から4月には86%に低下した。露軍が、妨害電波の影響を受けない有線誘導型ドローンの配備を進めていることなどが理由とみられる。
一方、ウクライナ保安庁によると、クモの巣作戦では、事前に地形や目標物などのデータを入力することで半自律的に攻撃できるドローンが使用された。保安庁は「(ロシアの妨害電波で操縦者からの)信号が途絶えた後も、人工知能(AI)を用い、事前に計画した経路に沿って任務を遂行できた」と説明している。【ブリュッセル宮川裕章】
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