ガザ物資配布拠点の銃撃 「イスラエル軍が住民に発砲」 米報道

2025/06/06 07:30 

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 パレスチナ自治区ガザ地区の支援物資配布拠点の近くで住民ら230人以上が死傷した1日の銃撃事件について、関与を否定するイスラエル軍による発砲との見方が濃厚になっている。米CNNは5日、複数の動画などの分析から、軍が住民に向けて発砲した可能性が高いと報じた。

 この事件では、ガザ当局は1日、イスラエル軍の発砲で30人以上が死亡したと訴えた。イスラエル軍はガザのイスラム組織ハマスによる「虚偽」と主張し、警告射撃は認めつつ住民への銃撃は否定した。

 CNNが複数の動画を分析したところ、発砲地点はガザ南部ラファの物資配布拠点から約800メートル離れた場所だと特定されたという。近くにある海岸沿いの通りはイスラエル軍が管理し、周辺には軍の基地もある。

 武器の専門家によると、動画に記録された銃撃の速度や、死傷者から回収された銃弾は、イスラエル軍の戦車に搭載可能な機関銃のものと一致した。誰が撃ったかは動画の分析からは判明しなかったが、ハマスが使う武器とは一致しないという。

 複数のメディアは、イスラエル軍が戦車から発砲したとの住民の証言を報じている。現場に居合わせた住民の一人は、毎日新聞ガザ助手の取材にも「軍が戦車から発砲したのを見た」と語った。

 死傷者が出た物資配布拠点は、米国とイスラエルが後押しする援助機関「ガザ人道財団」(GHF)が運営している。GHFの配布拠点はガザに4カ所しかなく混乱が続く。

 ガザ当局は3日も、拠点付近で27人がイスラエル軍の攻撃で死亡したと発表した。5月下旬にGHFが物資配布を始めて以降、関連して100人以上が死亡したという。【エルサレム松岡大地】

毎日新聞

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