中国、アフリカからの輸入関税をゼロに 米国を批判、関係強化へ

2025/06/12 19:25 

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 中国は、アフリカ諸国からの輸入関税をゼロにすると表明した。トランプ米政権が高関税政策など保護主義の傾向を強める中、アフリカとの関係をさらに強化する狙いがある。11日に湖南省長沙市で開き、アフリカ53カ国の外相らが参加した「中国アフリカ協力フォーラム」で公表した。

 国営新華社通信によると、フォーラム開会式で中国の王毅外相は「国際情勢が混沌(こんとん)とするほど、中国とアフリカが団結し時代をリードすることが重要だ」と訴えた。参加53カ国から輸入する全製品について「ゼロ関税措置を実施する」と表明し、「アフリカの発展のため、より多く中国の市場と機会を提供する」と語った。

 アフリカで唯一、台湾と外交関係があるエスワティニ(旧スワジランド)は対象外となる。

 フォーラムで発表した宣言では、米国を念頭に「一国主義と保護主義が発展途上国に経済上の困難をもたらしている。一部の国が国際貿易秩序を損なう手段として関税を利用している」と批判した。「全ての国、特に米国に対等な協議を通じて正しい軌道に戻るよう呼びかける」とも述べた。

 中国は、昨年まで16年連続でアフリカ最大の貿易相手国となっている。今年1~5月の輸出入総額は9632億元(約19兆円)で過去最高を更新した。米国が途上国支援に消極的な中、アフリカなどのグローバルサウス(新興・途上国)との経済関係の強化を加速させている。【北京・松倉佑輔】

毎日新聞

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