「ノー・キングス」 軍事パレードに全米2000カ所で抗議デモ
トランプ米政権が14日に首都ワシントンで軍事パレードを行うのに合わせ、トランプ大統領の政策や政治姿勢などに抗議するデモ「ノー・キングス(王様はいらない)」などが全米各地で行われた。
参加者らの不満や懸念は、憲法や議会を軽視しているととらえられる言動や政策の進め方、移民政策や多様性の制限など幅広い。米メディアによると、関連するデモは約2000カ所で行われ、第2次トランプ政権が1月に発足して以降、最大規模の抗議活動となった。
◇「今さら誇示する必要はない」
「米国は軍事独裁国家ではない」。ホワイトハウス近くで行われた集会では、登壇者が呼びかける度に、聴衆から大きな歓声や拍手が起きた。抗議のために南部ルイジアナ州から来たルビア・ガルシアさん(39)は「米軍が世界最強の軍隊だということは誰でも知っている。今さら巨額を投じてまで誇示する必要はない」と批判した。
トランプ氏主導で計画が進んだ軍事パレードについては、巨額の費用がかかることや、軍事パレード実施が1期目からの宿願であったことから軍の私物化、政治利用に当たるとの批判が出ている。14日がトランプ氏の79歳の誕生日に当たることも、人々の不信を増幅させる要因となっている。
集会に参加したエリック・ロレンツェンさん(42)は「陸軍参謀総長でもあったアイゼンハワー元大統領(任期1953~61年)は、軍事パレードについて『ソ連がやっていることをまねしようとすることは、我々を弱く見せる』と言っていた」と指摘。「軍人に敬意を示したいのであれば、この費用を彼らの待遇改善に使った方がよほどいい」と話した。
◇「軍隊の誤った使い方」
デモのスローガンが「ノー・キングス(王様はいらない)」であるのは、トランプ氏が王室好きであったり、振る舞いが「王様」のようであったりするからだけではない。
トランプ氏は今年2月、政権としてニューヨーク市で導入されたばかりの「渋滞税」の承認を取り消したと発表した。その際、自身のソーシャルメディアに「渋滞税は死んだ。マンハッタンとニューヨークすべてが救われた。王様ばんざい」と投稿。ホワイトハウスはX(ツイッター)でこの投稿を引用し、ニューヨークの摩天楼を背景に王冠をかぶるトランプ氏の絵画風の画像を公開したこともあるからだ。
デモは「王様が首都で開くパレード」との対比を強く意識し、全米各地の公園や広場、幹線道路沿いなど生活場所を中心に、「草の根」の形で数多く開かれた。
南部バージニア州フォールズチャーチでは、数百人がショッピングモールなどがある幹線道路約500メートルの歩道を埋め尽くした。道路の両側に分かれた参加者らは、リズムをつけながら相互にやりとりするように声を上げた。
「No What?(何が必要ない?)」と一方が声を上げれば、もう一方が「No Kings!(王様はいらない!)」。「Tell me what democracy looks like?(民主主義とはどのようなものか?)」と言えば、「This is what democracy looks like!(これが民主主義の姿だ!)」と返す。やりとりの形式のシュプレヒコールが続き、市民らが掲げたメッセージボードなどに賛同する自動車運転手らがクラクションをひっきりなしに鳴らしていた。
公民権の教師として長年勤めたという元校長のジェームズ・オルブライトさん(61)は、王冠の絵に赤い斜線を引いたボードを掲げて参加した。トランプ氏を「米国の法、権力分立の原則に従おうとしていない。軍事パレードも軍隊の誤った使い方の恐ろしい例だ」と批判した。
◇経済への懸念
東部メリーランド州ベセスダでは、デモ参加者は道路脇で「トランプは憲法を尊重しろ!」などと書かれたプラカードを通行車に向かって振った。「(米国が独立を宣言した)1776年以来、王様を拒否してきた」と書かれた紙を首から下げていたリチャード・ロビンソンさん(76)は「彼は国のためではなく、自身の名誉欲やビジネスのために大統領をやっているだけだ。民主主義や多様性といった米国の最も大事な部分を壊している」と語った。
トランプ氏の移民政策や関税政策に対する批判も強い。同州シルバースプリングで開かれた抗議デモに友人と参加していたマギー・コービーさん(39)は「移民が米国を偉大にした」などと訴える看板を掲げ、抗議の意思を表明。「トランプ氏は意図的に憎しみと不和の種をまき散らし、国民の分裂を招いている。米国民全体のための大統領であろうという考えを持っておらず、恐ろしい」と危機感をあらわにした。会社員の男性(63)は「このままでは関税引き上げなどで米経済も大打撃を受ける」と訴えた。
◇「声を上げ続ける」
フォールズチャーチでのデモに小さな子どもたちと参加したエリン・マッカイさん(42)は「子どもたちに正しいこと、いじめっ子に立ち向かうことを教えるために来た」と話した。保健政策の専門家として、科学者や専門家らの意見を聞かないトランプ氏の姿勢を危惧していると語った後、力を込めた。「これまで以上に不安を感じているが、立ち上がって声を上げなければならない」【ワシントン西田進一郎、松井聡、大久保渉】
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