中国の裁判所職員、60億円着服→日本逃亡か 当局は沈黙続ける
中国・北京市の裁判所職員が3億元(約60億円)もの差し押さえ金を着服し、日本に逃亡したという疑惑が浮上した。
ところが、その後、本人を名乗る人物が「上司の指示で不正に加担させられた」と訴え、着服を否定する声明をX(ツイッター)で公表した。事態が混迷を深める中、中国国内の報道は規制され、当局は沈黙している。真相は――。
◇連休前に日本へ出国か
疑惑の渦中にあるのは、地方裁判所に相当する「北京市第3中級人民法院」に勤務していた30代の男性職員だ。
報道によると、裁判所が詐欺事件に関連して差し押さえていた巨額の金銭を、管理の甘さを突いて自身の個人口座に移して着服したという。
職員は5月の連休を前に家族と日本へ出国した。事前にはギリシャ国籍を取得するなど、海外逃亡の準備を進めていたとされる。
この問題は6月上旬に中国メディア「財新」が報道した。間もなく記事は削除されたが、香港や台湾のメディアがその内容を引用して拡散した。
◇「着服疑惑」否定の声明
事態が意外な展開を見せたのは6月17日のことだ。この職員を名乗る人物が、Xで「資金を海外に持ち出してなどいない」とする声明を公表した。
その主張は次のようなものだ。
裁判所幹部から指示を受け、汚職事件に絡んで被告側が納付した約7000万元(約14億円)の賠償金を、別名義の資金に変える不正操作に関与させられた――。
当時、規則違反の行為に疑問を呈すと、上司は「余計なことは聞くな」「悪いようにはしない」と言い放ったという。やがて「スケープゴート(いけにえ)にされる」と身の危険を感じるようになり、4月に日本へ渡ったと説明する。
「私の手元に巨額資金があるなら、どうして(出国後の)生活費を友人に頼らなくてはならないのか」。着服の疑いをこう否定した。現在の滞在場所は明かしていないが、自らの潔白を示す証拠を公表する用意があるとしている。
◇中国の「闇」浮き彫りに
この人物は毎日新聞の取材に「身の安全が確保されてから、そちらと連絡を取りたい」と回答した。Xへの19日の投稿では、国際援助組織の支援を受け、ある民主主義国家に法的保護を求めていると近況をつづった。
現状では矛盾する情報が交錯し、真相は不明だ。だが、いずれにしても、汚職問題が絶えない中国の司法機関の「闇」を浮き彫りにするスキャンダルと言えそうだ。【北京・河津啓介】
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