イランとイスラエル、サイバー戦も激化 米企業標的の可能性も
イスラエルとイランによる爆撃の応酬が続く中、仮想空間でもサイバー戦が激化している。関与しているのは国家機関にとどまらず、ハッカー集団とみられる存在も確認されており、メディアや金融機関など幅広い対象が攻撃を受けている。
仮想空間での戦闘に国境は存在せず、米国が軍事介入すれば、米企業やインフラが報復の標的となる可能性も指摘されている。
AP通信などによると、イランの国営テレビでは18日、過去にイランで起きた反政府デモの動画に切り替わり、国民に蜂起を呼びかける内容が放送された。
その後、通常の放送に戻ると、画面には「不適切なメッセージが流れていたら、シオニスト政権(イスラエル)のサイバー攻撃によるものです」とのテロップが表示されたという。
イスラエルは2010年ごろまでに、イラン中部ナタンツの核施設に「スタックスネット」と呼ばれるプログラムを仕掛けて遠心分離機を破壊。24年9月にはレバノンの親イラン組織ヒズボラが所有する通信機器を遠隔で一斉に爆破させるなど、高いサイバー攻撃能力を持つ。
それだけに、イラン当局は警戒を強めている。今回の戦闘が始まってからは、国内のインターネット接続を厳しく制限。17日にはデジタルインフラを狙った「大規模なサイバー攻撃」を退けたと発表した。
政府関係者らに対し、携帯電話などを使用しないよう指示したとも報じられている。
だが、実害も出ているようだ。米シンクタンク「戦争研究所」などによると、親イスラエルのハッカーグループは17日、イラン国営銀行にサイバー攻撃を行い、決済システムに影響が出た。
18日には同じ組織がイランが保有する仮想通貨(暗号資産)にも攻撃を加え、9000万ドル相当を使えなくしたという。
仮想通貨は経済制裁下にあるイランにとって、重要な金融手段となっている。中東各地で支援している親イラン武装組織への資金供与にも活用されていたとみられている。
一方、イスラエルでもイランによるサイバー攻撃が相次いでいる模様だ。
米ニュースサイト「アクシオス」によると、米国のサイバーセキュリティー会社は、今回の戦闘を機にイスラエルでイランのサイバー攻撃が8倍に増えたと分析。「燃料供給が24時間止まる」「シェルターでテロ攻撃の恐れがある」などといった偽情報が住民に送信されたケースもあったという。
イランは、米国の軍事介入があれば「修復できない損害」を与えると表明しており、米国のインフラや企業なども狙われる可能性がある。
米国の通信業界団体は13日、イランによるサイバー攻撃の増加を警告し、企業に対して防衛策の強化を促す声明を発表した。【カイロ金子淳】
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