プーチン氏、スムイ州の制圧可能性「排除しない」 侵攻範囲拡大か

2025/06/21 11:08 

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 ロシアのプーチン大統領は20日、露軍が「緩衝地帯の設置」を名目に進攻しているウクライナ北東部スムイ州を巡り、州都スムイを制圧する可能性も「排除しない」との考えを示した。露北西部サンクトペテルブルクでの国際経済フォーラムの全体会合で述べた。

 ロシアは、一方的に併合を宣言したウクライナ東・南部4州を「自国領だ」と主張する。最近ではスムイ州に攻め入っているほか、6月上旬には東部ドニプロペトロフスク州への進軍も発表した。

 緩衝地帯の設置を口実に、侵攻の範囲を広げた可能性も指摘されている。

 プーチン氏は20日の会合で、緩衝地帯について、露国境からウクライナ側に10~12キロの深さで設置するとの見通しを示した。その理由として「(ウクライナ側が)我々に脅威を与え、国境地域を絶えず砲撃しているからだ」と主張した。

 司会者から「ロシアが自国領とみなす4州を超えて、どこまで進軍するつもりか」と問われると、プーチン氏は「ロシア人とウクライナ人は実際には一つの民族だ」との持論を改めて展開し、「その意味ではウクライナ全体が我々のものだ」と主張した。

 ただ、ウクライナの独立と主権の権利を疑ったことは一度もないとも話し、「我々は現実を踏まえている」と強調した。

 その上で、ウクライナ独立の根拠はソ連崩壊直前に採択された1991年の独立宣言にあると訴え、そこにはウクライナの「非同盟」「非核」「中立」が明記されていたと指摘した。「この基本となる価値観に立ち戻ることが望ましい」と述べた。【山衛守剛】

毎日新聞

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