イスラエルとイランの戦闘 25日午後にも終結見通し 予断許さず

2025/06/24 21:36 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 トランプ米大統領は23日、自身のソーシャルメディアで、交戦を続けてきたイランとイスラエルが「完全かつ全面的な停戦で合意した」と明らかにした。米東部時間24日午前0時(日本時間同日午後1時)ごろに合意が発効し、段階的に戦闘が停止され、日本時間の25日午後にも戦争が終結する見通しという。合意の条件などは明らかになっておらず、激しく衝突した両国が実際に戦闘を停止するかは不透明で予断を許さない状況は続く。

 イスラエルのネタニヤフ首相は24日、トランプ氏が提案したイランとの停戦に合意したと発表した。「イランの核とミサイルの脅威を取り除く目的は達成した」と述べた。イランメディアによると、イラン最高安全保障委員会も24日に声明を出し、「敵は一方的に侵略を停止せざるを得なかった」として勝利宣言した。停戦を事実上受け入れた形だ。

 トランプ氏の説明によると、まずイランが攻撃をやめ、その後にイスラエルが戦闘を停止する。ただし、イスラエルメディアによると、イスラエル軍は「停戦合意」発効後、イランの首都テヘラン近郊の軍事レーダーを攻撃するなどしている。合意がどれだけ守られるか見通せない状況だ。

 ロイター通信は米政府高官の話として、トランプ氏が23日にイスラエルのネタニヤフ氏と電話協議して停戦を説得したと報じた。ネタニヤフ氏は「イランが攻撃してこない限り停戦に同意する」と述べたという。米国のバンス副大統領やルビオ国務長官らがイラン側と交渉。カタールが連絡役を務めたという。

 「停戦合意」に先立ち、イランは23日、米軍による核施設攻撃に対する報復として、カタールにあるアルウデイド米軍基地を弾道ミサイルで攻撃した。イランの精鋭軍事組織・革命防衛隊は「破壊的で強力なミサイル攻撃を行った」と発表した。中東で最大規模の米軍基地で、約1万人の米兵が駐留している。

 ただ、米メディアによると、イランは事前にカタール政府に攻撃を通告。米国にも情報は伝わっていた。発射されたミサイル14発のうち13発を迎撃し、残る1発も米軍に危害がない方向に飛んだ。人的被害はなく、物損もほとんどなかったという。

 トランプ氏は報復攻撃を受けた直後、ソーシャルメディアに「(報復は)とても弱かった」と投稿。「イランが早期に通告してくれたことに感謝したい。イランは地域の平和と調和を進められるかもしれない。ぜひイスラエルにも同じことをするように促したい」と強調した。この投稿から約2時間後に「停戦合意」を発表した。

 トランプ政権はイランの核兵器保有を防ぐことを目的に、4月以降イランと計5回の交渉を重ねた。だが、米側が求めるイラン国内でのウラン濃縮活動の放棄をイランが受け入れず、交渉は停滞。両者が6回目の交渉に臨もうとしていた矢先の6月13日、イスラエルがイランの核関連施設への攻撃に踏み切った。

 イラン側も弾道ミサイルなどで応戦。イスラエルとイランの交戦が激化する中、米政権は21日(現地時間22日未明)、イラン国内の核施設3カ所への攻撃に踏み切った。米国がイランを攻撃するのは初めてで、中東地域での戦火の拡大が懸念されていた。

 イラン保健省によると、これまでの戦闘で600人以上が死亡し、5300人以上が負傷。イスラエル政府によると、イスラエル側では28人が死亡、1200人以上が負傷した。【松井聡(ワシントン)、金子淳(カイロ)、松岡大地】

毎日新聞

国際

国際一覧>