高崎第九合唱団の服装変更問題、市長「団体内部の話」と言及避ける

2025/06/24 21:45 

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 NPO法人「高崎第九合唱団」が2023年11月に開いたウィーン公演で、元団員の瞳さん(62)=仮名=が服装変更を余儀なくされた問題で、公演に補助金800万円を交付した高崎市の富岡賢治市長は「ノーコメント。分からない。団体内部の話」と言及を避けた。24日の定例会見で記者の質問に答えた。「差別かどうかも分からない」とも述べた。

 瞳さんは男性で男声パートだが、性表現は女性で生活。23年1月、女性の着物姿で団長に会った際に「自分で着られるなら、ウィーンでも着られる」と言われ、母の形見の着物を着ようと考えた。

 理解を得ようと、事前の練習でも着物やワンピース、スカートを着て周囲に説明。しかし公演1カ月前、団長に「ウィーン側の都合」「音響や立ち位置の関係」と告げられ、副団長に「男は男の格好で」などと言われたため、着用をあきらめたという。公演では団員約100人のうち2割ほどが着物を着て出演したが、瞳さんは着物の団員の隣に黒のスーツで立って歌った。

 この件への見解として富岡市長は「ノーコメントですよ。だって分からないもん。団体内部の話ですから。差別が起きたとかはっきりしたら別だけど。全然コメントの必要がない。団体の中で解決すべき問題」と話した。

 団の対応が適切かを問うと「楽友協会がどう回答したか分からない。行政がどうこう言う話ではない」と答えた。ウィーン楽友協会は毎日新聞にメールで「私たちはドレスコードを課していない」と関与を否定している。

 市の補助金等交付規則は第3条の原則に「真に市民の福祉の増進のための事務又は事業で、補助金等の交付に適当と認められるものに限り交付する」と定める。団への補助金交付について富岡市長は「活動そのものはぴったりだと思う。高崎の誇るべき市民の合唱団ですから」と述べ「明らかな差別だったら助言したりする必要があるかもしれないけど、そういう話か分からないんだから答えようない」と続けた。

 この件について、団側から市への報告や連絡は「受けていない」といい、市側からのヒアリングの可能性は「全くないです」と答えた。【加藤栄】

毎日新聞

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