イスラエル、先制攻撃時にイラン高官らに脅迫電話 政権の混乱狙い

2025/07/01 07:10 

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 イランのラリジャニ前国会議長は6月29日、イスラエルが先制攻撃を始めた6月13日に、イスラエル側から「12時間以内にテヘランを去らなければ殺害する」との内容の脅迫電話を受けたと明らかにした。イラン国営メディアが伝えた。ラリジャニ氏は「彼らにふさわしい回答をした」と語り、要請を拒否したと明らかにした。

 米紙ワシントン・ポストも6月下旬、イスラエルがイランの精鋭軍事組織・革命防衛隊の幹部らに対して同様の電話をかけていたと報じている。イスラエルは先制攻撃に合わせ、イランの指導部を脅迫して体制の動揺を狙ったとみられる。

 同紙によると、先制攻撃が始まった直後、イランの公用語・ペルシャ語を話せるイスラエルの工作員がイラン政府高官ら20人以上の携帯に電話をかけた。「12時間以内に妻子と一緒に逃げろ。さもないと、お前を殺害の候補に入れる」などと脅し、イラン政府を支持するのをやめるよう警告したという。

 イスラエル軍は最初の先制攻撃で、イラン軍のバゲリ参謀総長や革命防衛隊のサラミ司令官ら多くの要人を殺害している。高官らへの電話では「説明するから、よく聞け。2時間前にバゲリやサラミを一人一人地獄に送った国から電話している」などと揺さぶっていた。

 また、政権との関係を絶つことを誓う動画を作成して送るように言われた幹部もいたという。この幹部が実際にビデオを工作員に送ったかどうかは不明で、いまもイラン国内で生存しているとみられる。

 ラリジャニ氏は国営メディアで「彼ら(イスラエル)は脅迫によって高官が政権を放棄するよう圧力をかけられると信じていた」と指摘。最高指導者ハメネイ師らの殺害計画を阻止したとも主張した。【エルサレム松岡大地、カイロ金子淳】

毎日新聞

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