シリア南部の衝突、死者1000人超に 暫定政権「戦闘停止」と発表

2025/07/21 07:16 

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 13日からシリア南部スワイダ県で始まったイスラム教スンニ派のベドウィン(遊牧民)と少数派ドルーズ派の衝突を巡り、在英人権団体の「シリア人権観測所」は20日、これまでの死者が1120人になったと発表した。シリア暫定政権は19日、スワイダ県の県都スワイダ市からベドウィンの部隊が撤退し、戦闘は止まったと発表した。

 シリア暫定政権のシャラア大統領は19日、即時停戦を宣言。米CNNによると、スワイダ市では20日、銃撃戦の報告はなかった。暫定政権は16日にも停戦合意を発表したが、衝突が繰り返されており、停戦が維持されるかが焦点となる。

 これまでに住民が虐殺されたり、略奪や家が焼き払われたりする事例も報道されている。AP通信によると、暫定政権の治安部隊がドルーズ派を処刑したとの報告もあり、スンニ派中心の暫定政権への不信感が高まる可能性もある。

 衝突を巡っては、イスラエル軍が自国にも住むドルーズ派の「保護」を名目に軍事介入。シリア南部の他、16日にはダマスカスの国防省の建物を空爆し、3人が死亡した。イスラエルとシリアは19日、停戦に合意した。

 シリアでは昨年12月にアサド政権が崩壊後、宗派間の衝突が相次ぎ、治安維持が課題となっている。【エルサレム松岡大地】

毎日新聞

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