イスラエル、ガザの3地域で一時戦闘停止 餓死者続出など人道危機

2025/07/27 18:26 

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 パレスチナ自治区ガザ地区で餓死者が続出するなど人道危機が深刻化する中、イスラエル軍は27日、ガザ地区の一部地域で戦闘を一時停止すると発表した。毎日午前10時から午後8時までの10時間の措置。人道支援物資の搬入量拡大が目的で、国連などと協議をして決めたという。

 イスラエル軍によると、戦闘を停止するのは、南部マワシ地区、中部デルバラー、北部ガザ市の三つの地域。さらに午前6時から午後11時まで、食料などを運ぶ国連などの車両が安全に通行できるようにするルートも設けるという。

 イスラエルは、人質を拘束するイスラム組織ハマスに圧力をかけるためだとして、ガザ地区に搬入する支援物資を大幅に制限している。その結果、栄養失調などで子どもが死亡する事例が相次いでおり、国際社会から激しい批判にさらされている。

 こうした中、イスラエル軍は27日、ガザ地区への支援物資の空中投下を再開したと発表した。ただ、空中投下は搬入量が制限され、物資が住民に命中し死亡する事例も相次いでいる。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のラザリーニ事務局長は、空中投下は非効率で飢餓に対処できないと指摘した上で、ガザの封鎖をやめ検問所を開けるように求めた。

 ガザ地区では、米国などが主導する「ガザ人道財団」(GHF)が5月下旬以降、支援物資の配布を開始したが、配布拠点付近でイスラエル軍による発砲が相次ぎ、多数の死傷者が出ている。ガザ保健当局によると27日時点の2023年10月以降のガザ側の死者は5万9821人になった。【エルサレム松岡大地】

毎日新聞

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