台湾で原発再稼働問う住民投票 賛成票多数も、可決条件に届かず
台湾で23日、原子力発電所の再稼働の是非を問う住民投票が行われ、否決された。賛成票が多数を占めたものの、可決条件の一つである有権者総数の25%以上に届かなかった。台湾で最後まで稼働していた第3原発(南部・屏東(へいとう)県)2号機が運転期限を迎え、5月18日に停止。「原発ゼロ」社会になったが、野党は安定した電力供給が必要だとして再稼働を求めていた。
中央選挙委員会の発表では賛成の約434万票に対して反対は約151万票。賛成票は有権者総数の21・7%だった。頼清徳総統は総統府で記者会見し「エネルギーの多元的な選択に対する社会の期待は十分理解している。(原発について)台湾社会の最大の共通認識は安全だ。安全は科学の問題だけでなく、人々の安心の問題だ」と述べた。
台湾は1985年に3原発(計6基)体制が確立されたが、2011年の東京電力福島第1原発事故を契機に反原発運動が活発化した。16年に発足した民進党・蔡英文前政権は運転期限を迎えた原発を順次停止させる形で25年までの脱原発を推進。現在の頼清徳政権もその方針を引き継いだ。
ただ近年は原発活用を求める声が根強い。過去に何度か大規模停電が発生したことに加え、台湾経済を支える半導体産業で大量の電力が必要になるためだ。経済部(経済省)の23年の調査は、人工知能(AI)関連の電力需要は5年間で9倍に増えると予測する。
頼政権は原発に代わって天然ガスや再生可能エネルギーの活用をさらに拡大する方針で「電力供給に不安はない」とするが、再生可能エネルギーの電源構成比率は蔡政権時代の計画で掲げた20%に対し、24年時点で12%にとどまっている。
こうした中、第2野党の台湾民衆党が安全性を確認した上で第3原発の再稼働の是非を問う住民投票案を立法院(国会に相当)に提出。最大野党・国民党も賛同して可決された。
住民投票の結果には法的拘束力があり、2年間は同じテーマで住民投票はできない。
頼氏はすぐに原発を再稼働することには否定的で、住民投票では反対票を投じるよう呼びかけてきた。ただ5月の会合で安全性の確保や放射性廃棄物処理の問題の解決などを前提に、「先進的な原子力技術には開放的な態度で臨む」と発言。次世代原発などの導入に含みを持たせている。
23日には、国民党の立法委員(国会議員に相当)7人のリコール(解職請求)の是非を問う住民投票も行われ、対象の全選挙区で反対票が賛成票を上回って、リコールは不成立となった。7月26日に行われた別の国民党立法委員24人に対するリコール投票でも全選挙区で不成立だった。立法院(国会に相当)で野党が過半数をにぎる「ねじれ」状態が続く。【台北・林哲平】
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