「あなたは母の心臓」 ガザの記者、13歳息子に残した「手紙」

2025/08/28 20:10 

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 「もし私が死んだら、泣かないで、私のために祈ってください」――。

 パレスチナ自治区ガザ地区の病院がイスラエル軍の攻撃を受け、記者5人を含む約20人が死亡したことを受け、アルジェリアのベンジャマ国連大使が27日、そのうちの1人の女性記者が残した「手紙」を国連安全保障理事会で読み上げた。泣きそうになりながらこの記者の写真を掲げ、「彼女のよろいは報道ベスト、武器はカメラだった。彼女が残した言葉は、どんな公式声明よりも重たい」と訴えた。

 紹介されたのは、AP通信と契約していたパレスチナ人記者、マリアム・アブ・ダッガさん(33)が残したメッセージだ。殺害される数日前、X(ツイッター)でガザの外へ避難している13歳の息子に宛てて書き込んでいた。

 投稿では息子に向け「あなたは母の心臓であり、魂だ」と呼びかけ、「あなたの幸せと安全のためなら何でもしてきました。どうか決して私を忘れないでほしい。大きくなって結婚し、もし娘が生まれたなら、私の名前をとってマリアムと名付けてください」と訴えていた。

 ダッガさんは25日、ガザ南部ハンユニスのナセル病院で取材中、イスラエル軍の攻撃を受け死亡した。時間差で同じ場所を攻撃し、被害拡大を狙う「ダブルタップ」と呼ばれる手法が用いられ、救助や取材のために集まった多くの記者や救助関係者が巻き込まれた。

 イスラエル軍は「病院の監視カメラを狙った」と主張しているが、国際社会からは攻撃への非難が噴出している。【カイロ金子淳】

毎日新聞

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