「今後の政権に制約も」 米政権のカリフォルニア州兵動員に違法判断

2025/09/03 09:10 

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 米西部カリフォルニア州サンフランシスコの連邦地裁判事は2日、6月上旬に同州ロサンゼルスで発生したデモを受け、トランプ政権が動員した州兵と海兵隊の活動が、米国内における法執行活動への軍の参加を禁じる連邦法に違反しているとの判断を示した。

 共和党のトランプ大統領は、犯罪対策を名目に民主党が優勢な都市での州兵の動員に意欲を示している。今回の司法判断が今後の政権側の出方に影響を与える可能性がある。

 裁判では、トランプ政権は「暴動から連邦庁舎と職員を保護するための派遣だった」と主張したが、ブレイヤー判事は「軍による法執行のためだった」と結論付け、連邦当局による市民の拘束などへの関与を禁じた。政権側は上訴するとみられる。

 ロサンゼルスでは6月6日、不法移民取り締まりに抗議するデモが発生し、トランプ氏は「暴力的なデモが拡大している」と主張。連邦政府の職員と庁舎を保護する名目で州兵と海兵隊員計約4700人を動員した。地元のニューサム知事は、政権による一方的な軍の動員は違法だとして提訴した。デモは6月中旬ごろに沈静化したが、現在も州兵約300人が現地にとどまっている。

 トランプ氏は8月11日、首都ワシントンについても、犯罪発生状況が「制御不能」だとして州兵の動員を表明した。9月2日には、中西部イリノイ州シカゴが「犯罪の巣窟だ」として州兵の動員方針を明言しつつ、具体的な時期の言及を避けた。プリツカー知事に対して「私に支援を要請してほしい」とも呼びかけた。

 米紙ニューヨーク・タイムズは、連邦政府直轄の特別区である首都ワシントンは別として、各州で知事の同意を得ずに州兵を動員すれば今後も違法と司法に判断される可能性があると指摘する。「今回の判断が上級審でも採用されれば今後の政権の行動を制約することになる」との見方を示す。【ワシントン金寿英】

毎日新聞

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