<読む政治>事実上の「総裁リコール」 自民「石破おろし」の行方どうなる?
石破茂首相(自民党総裁)が自身の進退の決断時期について明言しなかったことを受け、自民内で「石破おろし」が加速している。大敗した参院選の総括は、8日に行われる総裁選前倒しの意向確認まで続く。実施されれば初となる事実上の「総裁リコール」は、過半数に達するのか。想定される動きをシミュレーションした。
◇署名過半数→「ポスト石破」総裁選へ
自民の麻生太郎最高顧問は3日、横浜市内で開いた麻生派研修会で総裁選前倒しを求める書面を提出すると表明し、「少数与党という極めて厳しい状況だが、日本が再び決められない政治に戻らぬよう力を尽くしたいと決意を新たにしている」と述べた。
麻生派は党内に残る唯一の派閥で国会議員43人が所属する。麻生氏は派内に指示は出さない考えだが、派閥会長と共同歩調をとる議員が続出する可能性がある。
党所属国会議員295人(衆参両院の議長を除く)と都道府県連代表47人の計342人のうち、過半数の172人以上から要求があれば、総裁選の前倒しが決まる。一定規模を持つ派閥のトップが姿勢を鮮明にしたことで、前倒し派は勢い付くとみられる。
多数派工作に向け、当選同期ごとに会合を開く動きが拡大している。2日には当選1回、当選5回の議員がそれぞれ会合を開催。5日には当選2回の若手議員が2回目の会合を国会内で開き、対応を協議する。
衆参とも与党が過半数を割り政権運営が見通せないにもかかわらず、首相は打開策を示せていない。中堅議員は「このまま何もしなければ自民党は終わってしまう」と危機感を募らせる。
前倒し派が過半数に達すれば、2年連続の総裁選になだれ込む。昨秋の総裁選に立候補した「ポスト石破」の有力候補の動きも活発化している。林芳正官房長官は2日夜に東京・赤坂の衆院議員宿舎で、総裁選で林氏を支えたベテラン議員らと会合を開いた。同日夜には決選投票で首相に逆転負けを喫した高市早苗前経済安全保障担当相も、自身を支持する議員約10人と会食。関係者によると、結束して総裁選前倒しを求めることで一致したという。
これに対し、首相周辺は総裁選実施が決まれば、衆院解散に打って出る可能性を示唆してけん制する。一方、党内には、前倒しが確実な情勢となれば、8日の意向確認を待たずに首相が退陣を表明するとの見方もある。
◇首相の再出馬、党則上は可能でも…
総裁選前倒しが決定した場合でも、首相が再出馬することは党則上は可能だ。仮に首相が勝利すれば、現在の2027年9月までの総裁任期を引き続き務めることになる。
だが、かつて結成した石破派は解消され、首相は自らを支持する議員グループを持たない。昨秋の総裁選で首相の推薦人となった20人も、昨秋の衆院選、今夏の参院選を経て減少しており、改めて20人を確保するハードルは高い。党内の過半数から事実上の「総裁リコール」を突き付けられた場合、首相周辺は「さすがに立候補しないだろう。組織としてあり得ないことだ」と語る。
◇ ◇
毎日新聞は7月23日と24日に「石破首相、退陣へ」と報道しました。首相は9月2日の自民党の両院議員総会の後に続投への意欲をにじませていますが、自民党総裁選の前倒しの手続きが進むなど、進退に決着がついたという状況に至っていません。引き続き取材を続け、結論が出た段階で一連の報道についてご説明します。
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