タイ最大野党、首相指名選挙で保守派と連携決定 総選挙巡り攻防も

2025/09/03 22:30 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 前首相が失職して空席となっているタイの首相人事を巡り、最大野党「国民党」は3日、連立与党から離脱した保守派「タイの誇り党」のアヌティン党首を支持すると決めた。両党を合わせても首相指名に必要な下院の過半数には届かないものの、他党からの造反議員などを巻き込んで有利に首相指名を進める可能性が出ている。

 両党連携の動きを受け、タクシン元首相派の「タイ貢献党」に所属するプムタム暫定首相は事態打開のため、下院の解散と総選挙実施を検討した。しかし地元メディアは3日夜、国王に送った解散の申請が差し戻されたと報じ、解散は認められなかった模様だ。

 タイ憲法裁判所が8月29日にペートンタン首相を解任したことに伴い、プムタム氏が暫定政権を率いている。暫定政権には下院を解散する法的権限がないといった反対意見が相次いでいた。貢献党は下院で行われる後任の首相指名選挙に同党のチャイカセム元法相を擁立し、連立政権の維持を目指してきた。

 これまで貢献党と誇り党は共に、鍵を握る国民党を自陣営に引き入れようと動いてきた。国民党はアヌティン氏を支持する理由について、4カ月以内の下院解散や憲法改正に向けた国民投票の実施などの条件を受け入れたためと説明している。

 国民党は2023年5月の総選挙で第1党となった前進党の後継政党で、直近の世論調査でも圧倒的な支持を得ている。そのため、アヌティン氏が首相に就任した場合も政権には入らず、解散総選挙に備える方針を示している。【バンコク武内彩】

毎日新聞

国際

国際一覧>