タイの暫定首相が解散・総選挙求める 与党下野の可能性高まり

2025/09/03 19:36 

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 タイのプムタム暫定首相が下院を解散する手続きを始めた。暫定政権を主導するタクシン元首相派の「タイ貢献党」が3日、明らかにした。総選挙に踏み切る意向で、国王の承認を求めている。ただ、暫定政権に下院を解散する法的権限があるのか専門家の間でも意見が割れており、混乱が予想される。

 タイ憲法裁判所は8月29日、ペートンタン首相の解職を決め、ペートンタン氏は7月1日にさかのぼって失職した。プムタム氏が暫定政権を率いている。

 貢献党は下院で行われる後任の首相指名選挙に同党のチャイカセム元法相を擁立し、連立政権の維持を目指していた。ところが連立から離脱した保守派の「タイの誇り党」と、最大野党「国民党」が組み、誇り党のアヌティン党首を支持する方針を決定した。

 貢献党はこのままいけば下野する可能性があり、議会解散で事態の打開を狙っている。解散が認められた場合、60日以内に総選挙が実施される。

 首相指名選挙では下院の過半数の支持が必要で、貢献党と誇り党は鍵を握る国民党を自陣営に引き入れようと動いてきた。国民党はアヌティン氏を支持する理由について、4カ月以内の下院解散や憲法改正に向けた国民投票の実施などの条件を受け入れたためと説明している。

 国民党は23年5月の総選挙で第1党となった前進党の後継政党で、直近の世論調査でも圧倒的な支持を得ている。そのため、アヌティン氏が首相に就任した場合も政権には入らず、解散総選挙に備える方針を示している。【バンコク武内彩】

毎日新聞

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