ガザ地区で100人以上が死亡 イスラエル軍の地上侵攻で犠牲者急増

2025/09/17 07:31 

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 パレスチナ自治区ガザ地区の戦闘を巡り、中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」は、イスラエル軍の攻撃によって16日だけで少なくとも106人が死亡したと報じた。このうち約9割は、軍が地上侵攻を始めたガザ市で死亡したとされ、戦闘に巻き込まれた市民の犠牲が急増している。

 イスラエル軍によると、ガザ市の地上侵攻では既に2個師団が展開しており、数日中にさらに1個師団が加わる予定だという。軍のデフリン報道官は、ガザ市制圧までに「数カ月」、イスラム組織ハマスの掃討に「さらに数カ月かかる」との見通しを述べた。ガザ市には約60万人がとどまっているとみられ、戦闘の長期化で市民の犠牲がさらに増えるのは必至だ。

 イスラエルはガザ地区への食料搬入を制限したままで、飢餓が深刻化する懸念もある。国連児童基金(UNICEF)は16日、ガザ市だけで1万人以上の子どもが急性栄養失調に陥り、治療が必要だと指摘した。UNICEFの報道官は「強制的な避難は、最も弱い人たちにとって命に関わる脅威だ」と危惧している。

 一方、イスラエルのネタニヤフ首相は16日、今月下旬にも米国を訪問し、ホワイトハウスでトランプ米大統領と首脳会談を行う予定だと明らかにした。ガザ情勢やハマス幹部を狙ったカタール攻撃後の対処などについて協議するとみられる。

 ガザ保健当局によると、2023年10月の戦闘開始以来のガザ側の死者は、16日時点で6万4964人。飢餓による死者は428人に上っている。【エルサレム松岡大地】

毎日新聞

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