和平案は「最後通告」 ハマスに残された「現実的」な選択肢は
パレスチナ自治区ガザ地区の戦闘を巡り、トランプ米大統領が29日、包括的な和平案を公表した。「最後通告」を突きつけられた形のイスラム組織ハマスはどう出るのか。中東政治に詳しい防衛大の江崎智絵准教授に聞いた。
◇ハマスが和平案を受け入れるかが焦点
和平案では、戦後のパレスチナ自治区ガザ地区をパレスチナ人や専門家で構成する「パレスチナ人委員会」の統治下に置き、トランプ米大統領が議長を務める「平和評議会」が監督する仕組みが示された。過去の停戦案に比べ、米国のコミットメントを強く打ち出した内容であり、戦後統治のあり方を米国が提示した意義は大きい。
また、米国とイスラエルが従来反対してきた「2国家解決」を否定せず、戦後の治安維持を担う国際安定部隊にアラブ諸国を関与させる方針も盛り込まれた。アラブ諸国との調整を経て、比較的中立的な案に落ち着いたとみられる。
トランプ氏はイスラエル寄りの姿勢をとる一方で、停戦交渉を仲介してきたカタールへのイスラエルの攻撃など、個別の政策ではイスラエルと対立することもあった。パレスチナを国家承認する国が相次ぐ中、イスラエルは米国の政治的な支援を失えば国際的孤立が一層深まる。追い詰められたイスラエルのネタニヤフ首相が、トランプ氏の提案を受け入れざるを得なかったのが実情だろう。
トランプ氏は当初、ガザ住民を域外に移住させ米国が開発を主導する構想を表明したが、国内外の反発が強く断念した。その一方で、今回の計画にはガザの経済開発に米国が積極的に関与する方針も盛り込み、自国の経済的な利益への執着をにじませている。
今後の焦点はイスラム組織ハマスが和平案を受け入れるかどうかだ。武装解除などは組織の存在意義を揺るがす厳しい条件である一方、米国とイスラエルの最後通告的な性格も帯びている。拒否すれば大きな代償を伴うため、ハマスにも相当な覚悟が必要になる。
2023年10月のハマスの急襲はイスラエルに恐怖心を抱かせたものの、パレスチナの解放には結びつかなかった。ハマスには幕引きをする責任があり、悪化の一途をたどるガザの人道状況を踏まえれば、現実的な選択肢は和平案の受け入れしかないだろう。【聞き手・古川幸奈】
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