米政府機関閉鎖へ 予算成立見通し立たず 日本時間1日午後にも

2025/10/01 07:13 

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 米連邦政府は1日以降の予算案成立のめどが立たず、同日から一部政府機関が閉鎖される見通しとなった。政府職員は緊急性の高い職場以外は自宅待機となり、経済関係の統計なども公表停止になる。長期化すれば、社会や経済の深刻な混乱が予想される。

 米東部時間の1日午前0時(日本時間同日午後1時)ごろまでに予算が成立しなければ、そのまま政府機関の一部が業務を停止する。閉鎖が起きれば第1次トランプ政権下の2018年12月~19年1月の35日間以来となる。

 与党・共和党は上下両院で多数派を占めるものの、上院(定数100)で予算案を成立させるためには議事妨害(フィリバスター)を阻止できる60票を確保する必要があり、野党・民主党の一部議員からの協力が必要だ。両党は10月以降の当面の運営資金を賄う「つなぎ予算案」を審議してきた。9月19日、下院では賛成多数で通過したものの、上院では否決された。

 上院では30日夜も政府閉鎖を避けるため、一度否決された予算案を再審議した。しかし民主党指導部が、年末で期限切れとなる医療費助成の延長などを求めて徹底抗戦。成立に必要な60票に届かなかった。

 ロイター通信などによると、一部閉鎖になった場合、数十万人規模で連邦職員が自宅待機となる可能性がある。国税庁は最初の5営業日は業務を継続するが、その後は不明だ。外国要人などの訪問も原則中止となる。雇用や経済に関する政府統計は公表が停止される。

 一方で、米軍兵士は勤務を続け、国境警備や税関でも多くの職員が勤務を継続する。郵便もサービスを継続し、年金や社会保障の給付金も支払いは続く。

 トランプ政権は政府閉鎖に追い込まれた場合には出勤しなくなった職員の一部をそのまま解雇し、政府機能を縮小する意向を表明している。

 共和党上院トップのスーン院内総務は上院の採決前、「民主党が賛成すれば政府閉鎖は回避される」とけん制。民主党上院トップのシューマー院内総務は「共和党はまだ真剣に協議する時間がある」と譲歩を求めていた。トランプ大統領はホワイトハウスで記者団に対し「おそらく政府閉鎖するだろう」との見通しを語っていた。

 トランプ氏は29日、ホワイトハウスに共和・民主両党の議会指導部を招き、事態打開のための協議をした。しかし双方の溝は埋まらず、バンス副大統領は協議後、「我々は政府(機関の一部)閉鎖に向かっている」と記者団に語っていた。【ワシントン金寿英】

毎日新聞

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