米政権、アフガンからの移民申請処理を全て停止 州兵銃撃受け

2025/11/27 17:52 

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 米首都ワシントンのホワイトハウス近くで26日午後、路上を巡回中の州兵2人が銃で撃たれる事件があった。2人はいずれも重体。米メディアによると、容疑者とみられる男性1人が拘束されたが、銃撃を受け負傷している模様だ。ワシントンのバウザー市長は州兵を標的にした銃撃との見方を示した。

 米CBSテレビによると、容疑者とみられる男性はアフガニスタン国籍。トランプ米大統領は26日の演説で、事件が「悪意や憎しみ、そしてテロ行為だ」と指摘した上で、男性がバイデン前米政権下の2021年に米国に入国したとして前政権を批判した。米市民権・移民局はアフガンからの移民申請処理を全て停止した。

 米メディアによると、銃撃は午後2時15分ごろに発生。現場はホワイトハウスの北側にある地下鉄ファラガット・ウェスト駅の周辺で、容疑者は交差点付近で警戒に当たっていた州兵2人に発砲したという。2人は南部ウェストバージニア州から派遣されていた。

 トランプ氏は南部フロリダ州の私邸に25日から滞在しており、不在だった。事件を受けてホワイトハウスは閉鎖された。

 米政権は首都ワシントンの治安対策を目的に、8月から州兵を動員。報道によると、約2200人が任務に当たっている。政権は事件を受けて、州兵500人の追加派遣を命じた。

 一方で、昨年時点でのワシントンの犯罪発生件数は過去30年間で最低を記録しており、州兵派遣は過剰な対策だとの批判も根強かった。共和党のトランプ政権は、ワシントンの他にも民主党の地盤となっている都市に犯罪対策を名目に一方的に州兵派遣を決定しており、各地で訴訟が相次いでいる。

 銃撃があった現場周辺は大勢の警察官や報道関係者が詰めかけ、騒然としていた。近くで働くヒデトシ・バスキーズさん(23)は「普段は大勢の市民でにぎわう場所で信じられない」と困惑した様子で語った。近くを通りかかったドミニク・ストーバーさん(37)は「感謝祭前日の日中に銃撃事件が起きるとは考えもせずショックだ」と語った。

 日本人留学生で東京都港区出身の大学院2年生、舞大樹さん(24)は事件当時、銃撃現場から数メートル離れた公園のベンチに座っていた。「ドン」という音が3、4回聞こえた後に辺りを見渡すと逃げまどう人たちや州兵らしき男性が倒れて心臓マッサージを受けている様子を目撃した。

 舞さんは「銃撃に巻き込まれてもおかしくなかったので怖い」と振り返った。さらに、「これまでも市街をパトロールする州兵に抗議したり嫌悪したりする地元住民の姿も見てきたので、いつか事件が起きないかと心配だった」とも語った。【ワシントン金寿英、松井聡】

毎日新聞

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