インドネシア、タイで政府批判噴出 アジア豪雨で1300人超死亡

2025/12/03 08:19 

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 11月下旬ごろからインドネシア、スリランカ、タイで相次いだ豪雨による洪水や土砂崩れの被害が拡大している。

 各国当局によると、2日時点で死者は計1300人を超え、行方不明者も計800人を上回った。被害拡大の背景には人的要因もあるとして、一部の国で政府批判の声も上がっている。

 最も犠牲者が多かったのはインドネシア西部スマトラ島で、死者は700人を超え、約500人が行方不明となっている。

 スリランカでも死者は400人を上回り、行方不明者は300人以上に達した。

 タイ南部でも「300年に1度」とされる豪雨が続き、約300万人が被災。死者は170人に上った。

 シンガポールのテレビ局「チャンネル・ニュース・アジア」によると、複数の専門家は、太平洋赤道域東部の海面水温が平年より低い状態が続く「ラニーニャ現象」など、複数の気候要因が重なり、降雨量が大幅に増えたと指摘。

 さらに、気候変動によって気象条件が急激に変化する中、アジア各国の防災体制やインフラ整備が追いつかず、脆弱(ぜいじゃく)性を露呈したと分析した。

 一方、インドネシアでは、洪水で大量の丸太が漂流する様子が交流サイト(SNS)で拡散され、「違法な森林伐採が被害を悪化させた」との批判が高まっている。ロイター通信によると、環境省は今後、関連企業への事情聴取などを行う予定だという。

 マレーシアに近い観光都市ハジャイが大きな被害を受けたタイでは、地元住民だけでなく、多くの観光客も被災した。政府の避難指示や救助の初動が遅れたとの不満が噴出しており、来年春ごろに見込まれる総選挙への影響が指摘されている。【バンコク国本愛】

毎日新聞

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