プーチン露大統領、米特使と会談 妥協案見いだせず ウクライナ和平

2025/12/03 07:32 

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 米国が主導するロシアとウクライナの和平計画案を巡り、プーチン露大統領は2日夜~3日未明、モスクワで米国のウィットコフ中東担当特使と会談した。プーチン氏は戦場での露軍の優勢を背景に強気の立場で臨み、和平に向けた結論は出なかった。

 タス通信によると、ウシャコフ露大統領補佐官(外交担当)は会談後、「協議は建設的で有益だった」と評価しつつ、「米国の提案にはロシアが受け入れられるものと、そうでないものがある。妥協案はまだない」と述べた。米露の接触は今後も続くとした。

 ウクライナ側の要求を踏まえ、修正された和平案を基に話し合ったとみられる。

 ウシャコフ氏は「領土問題も議論した」とし、露側が自国領に編入したと主張するウクライナ南部クリミア半島や東・南部4州の扱いも焦点になった模様だ。

 米ニュースサイト「アクシオス」の報道では、ウィットコフ氏は3日に欧州でウクライナのゼレンスキー大統領と会談する可能性がある。その場合、米露協議の結果を伝えるとみられる。

 タス通信によると、プーチン、ウィットコフ両氏の会談は8月上旬以来で今年6回目となり、2日午後7時半ごろから3日午前0時半ごろまでの約5時間続いた。

 露側からはウシャコフ氏とドミトリエフ直接投資基金総裁が会談に加わり、米側ではトランプ大統領の娘婿のクシュナー元大統領上級顧問が参加した。

 公開された会談冒頭では、双方はモスクワの街並みについて話し、和やかな雰囲気を演出した。

 会談の開始直前、プーチン氏は記者団の取材に応じ、最近の戦果を改めて強調した。

 「露軍が完全掌握した」とするウクライナ東部ドネツク州の要衝ポクロウシクについては、「この地を拠点にあらゆる方向へ容易に進軍できる」と述べた。

 また、プーチン氏は、ウクライナを支援する欧州諸国が「トランプ米大統領の和平実現への努力を妨害している」と非難。トランプ氏の当初案に欧州が加えた修正に対しては、「ロシアが絶対に許容できない要求を提示し、和平プロセス全体を阻止するのが目的だ」と主張した。

 一方、ラブロフ露外相は2日、中国の王毅外相とモスクワで会談し、ウクライナ問題も含めて中露の連携を確認した。プーチン氏は4日にインドを訪問予定で、対米交渉を進める中、ロシアは友好国との協調を重視している模様だ。

毎日新聞

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