米共和党、地盤の下院補選で勝利も広がる不安 民主党候補が善戦

2025/12/04 17:18 

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 米南部テネシー州で2日、連邦下院第7選挙区の補欠選挙が投開票された。共和党候補が初当選したが、民主党候補の善戦に注目が集まっている。テネシーは共和党が牙城とする「赤い州」として知られ、トランプ政権にとっては来年11月の中間選挙に不安を残す結果となった。

 共和党現職の引退に伴い、新人同士の争いとなった。NBCニュースによると、共和党の元州幹部、マット・バンエプス氏が民主党の州下院議員、アフティン・ベン氏に約9ポイント差(開票率99%)で勝利。2024年大統領選と同時に実施された前回選では共和党候補が約21ポイント差で圧勝しており、民主党に10ポイント以上詰め寄られた形だ。

 11月にあったバージニア、ニュージャージー両州知事と、東部ニューヨーク市長の3首長選はいずれも民主党が勝利。物価の高止まりなどトランプ政権の経済運営に対する有権者の不満が共和党への逆風になったとの指摘がある。今回の補選でベン氏は生活費の高騰や政権の医療政策を批判。一部の世論調査で接戦との情勢が伝えられていた。

 トランプ大統領は選挙戦終盤でバンエプス氏の集会に電話で参加。多額の選挙資金を投じ、ジョンソン下院議長も応援に入るなどのてこ入れを図って逃げ切った。トランプ氏は3日、自身のソーシャルメディアに「素晴らしい勝利だ」と投稿。ホワイトハウスで記者団に対し、物価高騰の責任は民主党のバイデン前政権にあると主張し、「いま物価は下がっている」と強調した。

 ただ共和党内では来年の中間選挙に対する不安が広がっている。テッド・クルーズ上院議員はFOXニュースに対し、今回の補選は「(議席を)失う可能性もあった」との認識を示し、共和党に危機感の共有を訴えた。民主党全国委員会のケン・マーティン委員長は声明で「民主党が攻勢を仕掛け、共和党は追い詰められている」と主張した。【ワシントン金寿英】

毎日新聞

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