デンマーク年金が米国債売却へ 米欧対立が背景との思惑広がる

2026/01/21 11:26 

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 デンマークの年金ファンドのアカデミカペンションは20日、保有する1億ドル(約158億円)相当の米国債を売却すると表明した。デンマークは、自治領のグリーンランド領有を目指すトランプ米政権との間で対立を深めている。金融市場では「デンマークを支持する欧州各国も、米国債の大量売却をけん制策として検討するのではないか」との思惑が広がり、金融市場に影響を与えている。

 ロイター通信によると、アカデミカペンションの運用担当者は声明で、売却の判断理由について米財政悪化への懸念を挙げた。一方、「現在進行形の(グリーンランドの領有を巡る)欧米間の不和は直接関係はないが、もちろん(関係悪化が)売却判断を難しくさせることもなかった」と言及。市場では「米欧対立が売却の背景にあったのではないか」との思惑が広がった。

 また、18日にはドイツ銀行のアナリストがリポートで、「欧州は米国の最大の貸手だ。欧州各国は8兆ドルの米国債や株式を持つ。地経学的安定が根本から破壊されそうな状況で、欧州がその役割を担い続けるかは明らかではない」と指摘した。

 ベッセント米財務長官はスイス東部ダボスで20日、「完全に間違ったナラティブ(物語)だ。全く理屈になっていない」と否定し、火消しを急いだ。米国債が大量に売り込まれれば、長期金利は急騰し、ドル安も進んで米国経済は大混乱に陥る。

 ただし、欧州の米国債保有者の大半は民間ファンドで政府が売買を指示することは難しい。また、無理に売りを浴びせれば、そのファンド自身が損失を被る可能性もある。そのため、金融業界からも米資産の「武器化」は現実的ではないとの見方が多い。

 一方で、米国が欧州との対立をより深めるような政策を続ければ、政治的思惑がなくても欧州ファンドを中心に米国債を「リスク資産」と見なし、投資から撤退する懸念はくすぶる。【ブリュッセル岡大介】

毎日新聞

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