EU、北極圏の安保関与強める方針 グリーンランド巡り非公式首脳会議

2026/01/23 16:25 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 欧州連合(EU)は22日、臨時の非公式首脳会議を開き、トランプ米大統領が領有を要求するデンマーク領グリーンランド問題への対応などを議論し、北極圏の安全保障について関与を強める方針を決めた。米国と負担を分担し、関係維持を目指す狙いがあるが、同盟国への圧力も辞さないトランプ政権への不信はくすぶっている。

 「我々は毅然(きぜん)とした態度を取り、団結して耐えることに成功した」

 EUの行政執行機関トップのフォンデアライエン欧州委員長は23日未明の記者会見で、EUの対応を自賛した。トランプ氏が21日、英仏独など欧州8カ国に予告していた追加関税措置を撤回したことが念頭にあるとみられる。

 トランプ氏が追加関税方針を17日に発表して以降、EUは領有を拒否するデンマークを一貫して支持。トランプ氏が方針を撤回していなければ、首脳会議で報復関税などの対抗策が議論される見込みだった。

 ただし、トランプ氏が矛を収めたのは、金融市場が地政学リスクの高まりを懸念して起きた米国債と株、通貨ドルの「トリプル安」が要因との見方も根強い。

 米国との長期的な関係の見直しも議題となったが、「EUと米国は長きにわたるパートナーだ」(コスタ欧州理事会常任議長)と、引き続き重視する方針を示した。

 フォンデアライエン氏は会見で、防衛支出の増加分を砕氷船の配備など北極圏対応に重点的にあてると表明した。国家安全保障の観点からグリーンランドの領有が必要だとの持論を唱えるトランプ氏に配慮したとみられる。

 ただ、あるEU高官は、トランプ氏が突発的に強い要求を出すことは「残念ながら『ニューノーマル(新たな日常)』になった」と語る。

 欧州がウクライナ支援を含めた域内の安全保障で米国に頼る構図は変わっていない。フォンデアライエン氏は「独立した欧州の実現に向けて一層の努力が必要だという議論もあった」と明かした。決定的な対立は避けつつ、水面下で一定の「米国離れ」を模索する外交が続きそうだ。【ブリュッセル岡大介】

毎日新聞

国際

国際一覧>

写真ニュース