金正恩政権下で358人死刑 韓ドラ「視聴」など コロナ期急増

2026/04/28 19:08 

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 韓国の人権団体「移行期正義ワーキンググループ」(TJWG)は28日、北朝鮮住民の処刑状況をまとめた報告書を発表した。金正恩(キム・ジョンウン)政権下で136回の処刑を確認し、このうち半数近くの65回が、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う国境封鎖の時期(2020年1月)以降に集中していた。また136回の処刑で殺害された人は計358人に達した。

 コロナ期は、特に韓国文化への接触や金氏の指示違反などを理由にした処刑が急増したという。北朝鮮では20年、韓国ドラマなどを広めた場合は最高で死刑となる「反動思想文化排撃法」を制定し、統制を強化している。TJWGは「国境封鎖後、文化・思想統制や政治支配の強化を進めている」と指摘する。

 TJWGは北朝鮮での処刑について15年以降、脱北者からの聞き取り調査を続け、報告書を3度まとめた。これまでに聞き取りをした脱北者は880人に上る。

 今回の報告書は、金氏が11年に最高指導者となって以降の処刑が対象。北朝鮮の51市・郡に住んでいた脱北者265人から得た民間人の処刑についての証言と、北朝鮮専門メディア「デイリーNK」からの処刑に関する情報を分析した。

 報告書によると、群衆を動員した公開処刑が多かった。「罪状」は、韓国の映画、ドラマ、音楽の視聴・流布などが29件(約20%)と最多。金氏の指示・方針違反などが26件(約18%)だった。他に殺人、麻薬の密売・使用、コロナ下での移動違反などもあった。

 処刑方法についての証言が得られた111件のうち、機関銃などの銃器を使用した例が107件と大半を占めた。

 TJWGの21年の報告書によると、北部・恵山(ヘサン)市出身の脱北者は、12年に未成年者が小銃で処刑されるのを目撃したと証言した。また12~13年ごろに平壌での公開処刑を目撃した脱北者は、群衆の前で遺体が火炎放射器で焼かれるのを目撃したという。

 処刑場所は、使われていない飛行場や空き地などだった。治安機関の庁舎内で死刑が執行された場合もあった。処刑場所は計46カ所にのぼり、このうち平壌首都圏でも12カ所を特定した。【ソウル福岡静哉】

毎日新聞

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