米政府、AI企業の株取得を検討 不信感抱く国民に配慮か
トランプ米大統領は5日、政府が米国の人工知能(AI)企業の株式取得を検討していると表明した。急成長する企業の利益を米国民に分配する仕組みを議論しているという。11月に迫る中間選挙で与党・共和党の苦戦も予想される中、AIに不信感を抱く有権者への配慮があるとみられる。
大統領専用機内で記者団に明らかにした。
トランプ氏は具体的な企業名や手法に言及しなかったが、米オープンAIや新興企業アンソロピックを念頭に置いている可能性がある。「(AI企業の)資金が巨額であるため、一部を米国民に還元し、実質的に国民が企業とパートナーになる構想がある」と述べた。来週にも主要企業との関連会合をホワイトハウスで開く見通しを示した。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルなどによると、オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)が2025年、主要なAI企業の株式取得構想を政権側に持ちかけた。「株主」である政府は配当などを通じて経済的な恩恵を受ける一方、AI企業にとっては許認可を得やすくなることで、自社のAIモデルの公表や上場準備を円滑に進められるとの思惑があるという。
同社は今年4月、AI企業への投資で得た利益を広く国民に分配する公的基金の創設を提唱していた。また、急進左派の「顔」であるバーニー・サンダース上院議員(無所属)は、主要なAI企業の株式の50%を公的基金に移管する法案の提出を計画している。
一方、急速に普及するAIに対し、米国民は不信感を募らせている。AIの導入で効率化を進め、人員削減に乗り出す企業も目立ち始めた。
米CBSテレビと調査会社「ユーガブ」が5月中旬に実施した世論調査では、AIが米国内の雇用を「奪う」との見方が65%に上った。「増やす」(18%)と「影響なし」(17%)を大きく上回った。
一部の大手企業に富が集中しやすい構図も国民の反感を買いやすい。
AI企業の利益が国民にとっても利益となる状況を作ることで、国民生活に配慮する姿勢をアピールする狙いがありそうだ。
ただ、政府による直接出資は企業の自由な意思決定を阻害する懸念があるほか、市場の変動リスクを抱えることになる。政府にとって、決してメリットばかりとは言えない。
トランプ政権の支持者からも、企業の成長鈍化で「米国がAI競争に勝てなくなる」など否定的な見方が出ており、今後の展開は曲折も予想される。【ワシントン浅川大樹】
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