「企業献金の全面禁止を意図」河野洋平・元総裁、30年前の真相証言

2025/01/22 11:30 

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 「政治とカネ」の問題で焦点になっている企業・団体献金の禁止を巡り、「平成の政治改革」を主導した自民党の河野洋平・元総裁(88)が毎日新聞の単独インタビューに応じた。河野氏は、約30年前に細川護熙元首相とのトップ会談で政治改革関連法に合意した際、「5年たったら企業・団体献金は終わりというのが私と細川さんの理解だった」と述べ、5年後の全面禁止を意図していたとの認識を示した。その上で、禁止に否定的な現在の自民の姿勢について「反省が足りず、国民の支持を得られなくなる」と指摘した。

 リクルート事件など、政治家が企業から金品を受け取る金権スキャンダルが相次いで発覚し、自民は1993年に下野。非自民連立の細川内閣が誕生し、政治改革が国会のテーマとなった。

 企業・団体献金の禁止を目指す細川政権と、存続を求める自民との攻防が続いたが、自民総裁だった河野氏と細川首相が94年1月にトップ会談。企業・団体献金の制限や政党助成制度の導入、小選挙区比例代表並立制の導入などを含む改革案に合意し、一連の政治改革関連法を成立させた。

 企業・団体献金については、政治家個人への献金を禁止。政党と、政党が指定する政治資金団体への献金は「5年後に見直しを行う」と改正政治資金規正法の付則に明記された。

 この「5年後に見直し」の意味について河野氏は、激変緩和措置であり「5年たったら完全に終わりという趣旨だ。(細川氏との合意で)政治資金問題について終止符を打つと決めた」と強調した。

 細川氏も毎日新聞の取材に対し、「見直し」の趣旨は禁止だったと証言している。

 しかし、5年後の99年、小渕恵三政権下で行われた法改正で企業・団体献金は全面禁止されず、政党交付金との「二重取り」だとの批判が今も続いている。

 ◇石破首相の認識と食い違い

 一方、石破茂首相は昨年12月の衆院予算委員会で「(政党に)公的助成が入ったので企業・団体献金はなくなるという意識を持ったものは、少なくとも自民党にはいなかった」と答弁し、河野氏や細川氏の認識と食い違っている。

 企業・団体献金を巡り、自民は「禁止より公開」を主張し、禁止を求める立憲民主党などと溝がある。与野党は3月末までに「結論を得る」ことで合意しており、24日召集の通常国会で改めて議論になる見通しだ。【樋口淳也】

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