「米国産日本車」逆輸入案が浮上 トランプ関税撤廃へ米国の軟化狙う

2025/05/14 20:00 

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 トランプ米政権の関税措置を巡り、日本政府内で日本車メーカーが米国で生産する自動車を日本に逆輸入する案が浮上したことが分かった。日本は自動車に課せられた25%の関税の撤廃を強く要望するが、米国は難色を示している。日本側は米国の対日貿易赤字の是正で米側の軟化を狙い、交渉する方針。

 交渉を担当する赤沢亮正経済再生担当相とベッセント米財務長官らは1日、ワシントンで開かれた2回目の閣僚協議を実施。米側が求める米国車の日本市場参入策として、日本側は輸入自動車の安全審査などを簡素化する特例の拡大などを提案した。

 ただ、日本政府関係者はこれらの提案について「日本国内では米国車の需要は限定的。ビッグ3(自動車大手3社)の販売努力も不足している」と指摘する。これらに加えて、日本メーカーが米国で生産した右ハンドルの逆輸入車なら日本市場で安定した販売が見込めるとの期待があるため、逆輸入案が浮上したとみられる。

 ただし、米国は自動車関税の引き下げには慎重で、8日に英国と合意した年10万台までの「車の低関税枠」が日本に適用されるかは不透明。日本の交渉筋は「日本の対米輸出台数は年137万台と多く、あの手この手で関税引き下げを訴えるしかない」と話す。

 日本メーカーが米国で生産する「逆輸入車」は、1990年代の日米貿易摩擦でも米国の貿易赤字解消策として各社が取り組み、米ホンダの「アコード・クーペ」などは好調な売り上げを記録した。【田所柳子、古川宗、光田宗義】

毎日新聞

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