ゆうパックにも影響か 日本郵便の運送事業許可取り消しへ 国交省

2025/06/05 14:18 

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 集配業務を担う全国の郵便局で点呼が不適切だった問題で、国土交通省は5日、日本郵便に対し、バンやトラック約2500台による貨物運送事業の許可を取り消す行政処分案を通知した。許可取り消しは、貨物自動車運送事業法に基づく最も重い処分で、大手事業者に出されるのは極めて異例。

 国交省は、日本郵便から処分案についての意見を聞く聴聞を18日に実施した上で、6月中にも正式に処分を出す。同社は5年間、自社のバンやトラックなど約2500台を動かせなくなり、ゆうパックなどの配送に一定の影響が出る見通しだ。

 日本郵便は「社会的インフラを担う運送事業者として存立に関わる重大な事案。お客様や事業への影響を精査し、具体的な対応を速やかに検討する」とコメントした。林芳正官房長官は5日の記者会見で「輸送の安全の確保を揺るがしかねず、極めて遺憾だ」と述べた。

 国交省がトラックなど一般貨物自動車を扱う全国119郵便局を調べたところ、82局で法令違反を確認した。違反した局では、飲酒の有無を確認していなかったり、点呼をしていないのに実施したとする虚偽の記録を作成したりしていた。関東運輸局の管内だけで、累積の違反点数が許可取り消しの基準を超えたという。

 関東運輸局管内で許可の取り消しが確定すれば、日本郵便の全体に効力が及び、全国の郵便局で営むバンやトラックでの配送事業が取り消しの対象となる。許可が取り消されると、5年間は許可の再取得ができなくなる。

 約3万2000台ある同社の軽バンは許可制ではなく届け出制で、今回の処分の対象外だが、郵便局ごとの車両停止処分を検討している。主に郵便配達で使われる原付きバイク約8万3000台は、貨物自動車運送事業法の対象外となっている。【木村敦彦、竹内望】

毎日新聞

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