フィリピンに防空ミサイルの輸出検討 政府、「5類型」撤廃後

2025/12/10 18:05 

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 フィリピンが陸上自衛隊の防空ミサイルに関心を示していることが分かった。政府は防衛装備品の輸出を救難や輸送、警戒など非戦闘目的に限定する「5類型」が撤廃されれば、フィリピンへの輸出を具体的に検討する方針。オーストラリアやフィリピンなどインド太平洋地域の「準同盟国」「同志国」への装備品の輸出拡大を進めることで、海洋進出を強める中国を念頭に抑止力、対処力を高める狙いがある。関係者が明らかにした。

 フィリピンが関心を示す防空ミサイルは、航空機や巡航ミサイルなどの迎撃を可能とする陸自の03式中距離地対空誘導弾(中SAM)で、現在の防衛装備移転三原則の運用指針では5類型に限るため、輸出できない。自民党と日本維新の会は連立政権合意書に2026年通常国会中の5類型撤廃を明記し、それぞれ党内の議論を進めている。政府は両党の提言を受けて、5類型を撤廃する考えだ。

 また政府は情報処理や指揮統制を行うシステムをフィリピンに輸出する方向で調整している。レーダーなどで得た相手国のミサイルなどの情報を処理し、指揮統制まで行うシステムで、警戒・監視目的のため「5類型」のもとで輸出は可能としている。フィリピンには既に日本として初めての完成品の装備品輸出となった防空レーダーを輸出している。中SAMの輸出が実現すれば、レーダーによるミサイルなどの探知から情報処理・指揮統制、迎撃を日本の装備品で実施でき、比軍とのさらなる円滑な情報共有も見込めるという。

 豪海軍の新型フリゲート艦に日本の「もがみ」型護衛艦の改良型が採用されるなど、政府は豪州との連携も強化している。ともに米国との同盟国である豪比両国を軸に装備品の共有を目指す。【竹内望】

毎日新聞

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