高市首相「日本人が各地旅行するのも大切」 中国からの渡航自粛巡り

2025/12/17 21:15 

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 第219臨時国会が17日、58日間の会期を終えて閉会した。自民党と日本維新の会が今国会での成立を目指していた衆院議員定数削減法案は審議入りできず、継続審査となった。維新が「連立の絶対条件」とする定数削減の議論は来年の通常国会に先送りされる。

 企業・団体献金の扱いを巡る与野党の3法案も採決に至らなかった。与野党は、昨年12月の臨時国会で「2024年度末までに結論を得る」と合意したが、結論は今年の通常国会に続き、またも先送りされた。

 臨時国会では、政府の経済対策を裏付ける25年度補正予算が成立。一般会計の歳出は18兆3034億円で、新型コロナウイルス禍後で最大だった。防衛力整備計画の経費などは約1兆1000億円で、防衛費を国内総生産(GDP)比2%とする目標に達した。ガソリン暫定税率(1リットル当たり約25円)の廃止法も成立した。

 立憲民主党など野党は、内閣不信任決議案の提出を見送った。

 また高市早苗首相は17日、臨時国会閉会を受けて首相官邸で記者会見した。企業・団体献金の扱いを巡る与野党の3法案がいずれも採決に至らなかったことについては「真摯(しんし)に議論を深め、国民に信頼される政治資金のあり方を追求していくことが重要だ」と述べるにとどめた。また台湾有事を巡る首相の国会答弁を受け、冷え込んだ日中関係の改善に向けて中国の習近平国家主席と会談する考えがあるかを問われ、「首脳間を含めてあらゆるレベルで対応を行うことに日本側はオープンだ」と意欲を示した。

 首相は対中関係について「懸案があるからこそ意思疎通が重要だ」と繰り返し強調。台湾有事を巡る自身の答弁は「日本政府の従来の立場を変えるものではない」とした上で、「さまざまなレベルで中国や国際社会に粘り強く説明していく」と語った。

 中国側が日本への渡航自粛を要請してから約1カ月が経過し、観光業などへの影響が広がっていることに関しては「日本人が日本各地を旅行することも大切だ。多様な国の方々が日本を訪れてくれるプロモーションにも力を入れていきたい」と言及した。

 首相は19日に与党税制大綱のとりまとめ、26日に2026年度予算案の閣議決定を予定していると説明。早期の衆院解散・総選挙に踏み切る考えがあるかを問われたが、「解散については考えている暇がない」と述べるにとどめた。25年度補正予算案に、野党でありながら賛成した国民民主党との連立拡大については「相手方の意向もあることだから、コメントを控えたい」としつつ「政治の安定なくして力強い経済政策などを推進していくことはできない」と秋波を送った。

 日本維新の会が早期成立を求めている衆院議員定数削減法案については「大変残念ながら(今国会では)審議すらされなかった」と指摘。「引き続き通常国会で野党の理解を求め、成立を期したい」と述べた。

 高市政権は政権発足から約2カ月が経過した。政権運営の自己評価については「かなりスピード感を持って取り組んでこられたのではないか」と自賛。今後の政権運営については「ここからさらにギアを上げて、総裁選や連立合意に掲げた政策をどんどん実現していくつもりだ」と意欲を語った。【飼手勇介、神山恵】

毎日新聞

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