政府、防衛装備品の輸出促進で新組織を検討 同志国と連携強化へ
政府は防衛装備品の移転(輸出)を輸送、警戒など非戦闘目的に限定する「5類型」の撤廃を巡り、装備品の輸出政策を担う新組織を政府内に設置する検討に入った。複数の政府・与党関係者が29日、明らかにした。装備品の輸出促進や輸出した装備品のメンテナンスなどを通じ、輸出先の国との連携強化を図る狙いがある。
政府は防衛装備移転三原則の運用指針である「5類型」を2026年春にも撤廃し、装備品の他国への輸出を拡大させる方針だ。新組織は輸出促進を担うほか、輸出後の装備品の修理や補修、部品交換などの維持管理にも関わることを想定している。
政府・与党内では新組織の設置先を、防衛省の外局である防衛装備庁とする案が浮上している。防衛装備庁は、防衛省内にあった調達や研究・開発などに関連する部門を集約して15年に設置された。輸出促進に向けて「オールジャパンで取り組む必要がある」(与党関係者)との声もあり、具体的な設置先については今後さらに詰める。新組織の発足は、移転三原則に関する新たな運用指針の決定後となる。
5類型が撤廃されれば、護衛艦や航空機など頻繁に点検や補修が必要となる装備品の輸出も可能になる。日本の防衛産業は輸出実績が乏しいため、点検や補修といったバックアップ体制もアピールし、輸出拡大を後押ししたい考えだ。
日本が装備品の点検・補修などを担うことで、オーストラリアやフィリピンなど中国の軍備拡大を警戒する同志国などとの連携強化につなげる狙いもある。
国内の防衛関連産業にとって、装備品の補修業務は重要な収入源でもある。近年の防衛装備品は電子化や技術の高度化で部品交換などのメンテナンス費が上昇傾向にある。
自民党と日本維新の会の連立政権合意書には、防衛産業の技術基盤を強化する観点から、武器輸出を拡大していく方針が盛り込まれた。国内企業が輸出後の補修まで担えば、長期の収入確保にもつながる。与党関係者は「輸出後にも責任を持たなくてはならない。民間だけでなく、国もしっかり関与していく必要がある」と新組織の設置意義を強調した。【遠藤修平】
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