中国念頭のミサイル配備 軍拡競争より「信頼高めるための外交」を
防衛省は2025年度、有事の際の「反撃能力」(敵基地攻撃能力)となる長射程ミサイルを陸上自衛隊健軍駐屯地(熊本市東区)に初めて配備しようとしている。ミサイルは国産の「12式地対艦誘導弾」を改良した「能力向上型」で、射程は約1000キロ。中国東部沿岸や北朝鮮のほぼ全域を射程に収めることになる。健軍駐屯地に配備する理由や地元説明のあり方について、ジャーナリストの布施祐仁さんにそれぞれ聞いた。【聞き手・中里顕】
――健軍駐屯地にミサイルを配備する理由をどうみるか。
◆ミサイルは台湾や南西方面での有事、つまり中国を念頭に置いている。沖縄県は玉城デニー知事が長射程ミサイルの配備に反対しているので、政治的にハードルが低い場所かつ地対艦ミサイル連隊があるということで総合的に判断したのではないか。
――標的にされると不安視する声もある。
◆確かにミサイルは有事の際には駐屯地にはなく、実際に使用する際は駐屯地外や南西諸島への展開が考えられる。とはいえ、駐屯地が攻撃される危険性がないというのはあまりにも楽観的過ぎる。ミサイル部隊の重要な作戦基盤である事実には変わりなく、陸上自衛隊の九州・沖縄地域最大の拠点でもある健軍駐屯地は当然攻撃目標になるだろう。
――住民説明会の開催を求める声がある中、国は「現時点では予定はない」とする。
◆安全保障政策・防衛は地域住民や国民の理解なくしてはうまくいかない。国は『安全保障には国民の理解が欠かせない』と言うが、それならば、地域住民の不安を取り除くための説明会を開くのは当然だ。まして敵基地攻撃能力を熊本に初めて配備しようとしている。説明会を開かないのは長射程ミサイルを今後、全国に配備するに当たって反対運動に火を付けないためではないか。
住民が不安を抱いているのであれば、しっかり説明をして、合意形成していくのが本来の民主主義のあり方だ。防衛は一義的には国の専管事項だとしても、県や市も説明会の開催を求めていくべきだ。
――高市早苗首相は国会で長射程ミサイルが「全然足りない」と発言している。配備を進めることで近隣諸国を刺激する可能性は。
◆中国に対する抑止力強化のためにミサイルで対抗しても、中国を上回るのはどだい無理な話だ。また中国に限らず北朝鮮やロシアがミサイル能力を強化すると、日本もさらにミサイルを増やし続けるのだろうか。そうすると、際限のない軍拡競争に陥る。結果的に地域の軍事的緊張が高まるし、防衛費の増額が国民負担の増大や財政のさらなる悪化を招きかねない。それを避けるためにも、緊張緩和と信頼醸成のための外交が重要だ。
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