米国から防衛装備品購入、円安で3000億円追加支出へ 会計検査院

2026/01/16 17:05 

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 米政府から防衛装備品を調達する有償軍事援助(FMS)について会計検査院が調べたところ、2023~25年度の支払額が円安の影響で当初の想定より約3000億円増える見込みであることが判明した。FMSの契約を巡っては複数年にわたって支払いをするケースが多い一方、契約時に為替の変動を考慮しておらず、結果的に多額の為替差損が生じている実態が明らかになった。

 FMSは米国が安全保障政策の一環として、同盟国や友好国に最新鋭の装備品を有償で提供する取引。「一般では調達できない能力の高い防衛装備品などを調達可能」とされるが、為替変動によって分割払いの「後年度負担」が増えるリスクを伴う。

 検査院は今回、参議院の要請で調査を実施。18~23年度の契約や支払いの状況などを調べた。

 その結果、円安の影響により、19年度の契約額計6864億円に対し、実際には7274億円が支払われていた。さらに20~23年度に計1兆5155億円と見込んだ後年度負担が1兆7668億円に膨らむと試算。これらを踏まえ、23~25年度の支払額が当初の想定よりも計3010億円増えると算出した。

 契約はドル建てで行い、支払額は契約後に円高・ドル安が進めば下がるものの、逆に円安・ドル高になれば上昇する。19年度に1ドル=110円程度だった為替レートは25年度には同150円まで円安・ドル高が進み、検査院は「今後も支払額が増加する可能性がある」と指摘。防衛省に対し、FMS調達の効率化と合理化の取り組み状況を一元的に把握できる体制作りなどを求めた。

 防衛力の抜本的な強化に向け、防衛費は26年度予算案で初めて9兆円台となるなど増額が進んでいる。FMS調達も大幅に増えており、検査院によると、23年度は1兆3867億円で18年度の3倍以上となった。この間の調達には、最新鋭ステルス戦闘機F35などが含まれる。

 このほか検査院は、18年度末時点で出荷予定時期が到来していなかった519件の契約について、進捗(しんちょく)状況も調べた。23年度末時点で118件(未精算額1兆1408億円)が米国側の製造の遅れなどで納期が変更され、納入されていなかった。

 また、米国が保有する余剰防衛装備品(EDA)を安価に調達できるとして海上自衛隊が12年に調達した輸送機を巡り、仕様書で定められた範囲を超える大規模な修理作業を必要とする不具合が発生し、修理期間が当初の目標を超過していたことも明らかにした。【山田豊】

毎日新聞

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