高市首相「裏金議員って言い方やめて」 43人公認、野党は批判強め

2026/02/03 12:00 

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 8日投開票の衆院選で、自民党は派閥の政治資金パーティー裏金事件に関係した前議員らのうち43人を公認した。高市早苗首相は「もう一度働くチャンスを与えてやっていただきたい」と理解を求めるが、中道改革連合など野党には「(自民は)反省していない」などと批判を強める動きがあり、争点の一つに浮上している。

 ◇高市首相「たった1回の過ち」と強調

 公示前日の1月26日に放送された民放テレビ番組での党首討論。れいわ新選組の大石晃子共同代表から裏金問題について批判された高市首相は「裏金議員っていう言い方はやめてください。みんなそれぞれ(政治資金収支報告書への不記載に至った)事情が違う」と訴えた。

 番組では、裏金問題に関わり前回衆院選で落選した元議員らに公認を出した判断について、司会者が「自民にとって、みそぎはもういいということか」と質問した。高市氏は「みそぎが終わったとは考えておりません」とした上で、元議員らは検察の捜査を受け、国会などでの「説明責任も果たした」と強調。「たった1回過ちがあった、不記載があったということで『二度とあなたは政治家になっちゃ駄目だよ』ではない。私はまた活躍してほしいと思っています」と述べた。

 ◇特捜部が議員ら12人を立件

 裏金事件は2022年11月、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」が疑惑を報道。その後、自民の派閥が政治資金パーティー券の販売に関して議員にノルマを課し、そのノルマ超過分を議員側にキックバック(還流)して「裏金化」していたことが判明した。

 東京地検特捜部は23年12月、清和政策研究会(旧安倍派)と志帥会(旧二階派)の関係先の家宅捜索に乗り出し、刑事事件へと発展。政治資金規正法違反で元衆院議員の池田佳隆氏が逮捕されるなど、これまでに元議員や派閥の会計責任者ら計12人が政治資金規正法違反で起訴(在宅や略式を含む)され、一部は有罪が確定している。

 一方、派閥幹部の議員らの立件は見送られた。不記載額が少なかったり、会計責任者との共謀が認められなかったりしたためとみられる。ただ、事件をきっかけに派閥は解体に追い込まれた。

 ◇「裏金」総額は7億円

 自民が24年2月に公表したアンケート結果によると、18~22年に政治資金収支報告書への不記載や誤記載があったのは85人で、総額は計約5億8000万円。起訴された元議員らの分を含めると、判明した総額は約7億円に上るという。

 自民は10月にあった衆院選で、裏金事件に関わった候補者を非公認としたり、比例代表との重複立候補を認めなかったりした。結果、半数以上が落選。自民は少数与党に転落した。続く25年7月の参院選も自民は敗北し、石破茂政権(当時)は退陣した。

 しかし、高市氏は25年10月に首相に就任すると、政治資金規正法違反で政策秘書(当時)が罰金刑を受けた萩生田光一氏を党幹事長代行にするなど、党の処分が明けた議員を再び要職に起用。今回の衆院選でも事件に関係した前議員らのうち43人を公認した。その中には、1年3カ月前の衆院選で有権者から信任を得られず、落選した23人が含まれている。

 ◇野党から批判相次ぐ

 こうした高市氏の姿勢に、野党は批判の声を上げる。中道の野田佳彦共同代表は選挙戦が始まった1月27日、青森県での第一声で「いわゆる裏金に関わった皆さんが(自民の)公認候補として立候補しています。反省ないと思いませんか。裏金議員を復職させるようなことはあってはならない」などと批判。斉藤鉄夫共同代表も1月31日の街頭演説で「(今回の衆院選に)もし大義があるとしたら、裏金議員たちを復活させるのが目的なのではないか。こんな選挙は許されない」と声を張り上げた。

 共産党は公約の中で「高市首相は裏金にかかわった議員を党三役や政務官に起用し、『丁寧に説明責任を尽くしてきた』などと開き直っています」と指摘している。【金森崇之】

毎日新聞

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