スクイズ成功する場所は? 和歌山・桐蔭の研究が最優秀賞 野球学会

2026/02/03 08:45 

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 どんなバントがスクイズ作戦の成功率を高めるのか――。プロ、アマ問わず野球関係者が集まる昨年12月の「日本野球学会第3回大会」で、県立桐蔭高(和歌山市)の硬式野球部「データ分析班」の研究「少ない好機をものにする~セーフティスクイズのタイムと捕球位置に着目して~」が高校の部で最優秀賞を受賞した。部員2人が中心となって進めた研究だ。

 学会は2013年設立の日本野球科学研究会を前身とし、選手や指導者、研究者が交流する場。12月中旬に広島市中区の広島大であり、一般と高校の部を合わせて145題の発表があった。

 1897年創部の同部は、夏の地方大会に第1回から皆勤する全国15校のうちの一つ。発表はともに2年の中口拓海さん(17)と藤村一颯(いぶき)さん(17)で、2024年度に発足したデータ分析班の1期生としてチームの作戦や選手個々のレベルアップをデータ面から支えている。

 スクイズバントの最適な方向と強さを研究したきっかけは、昨夏の新チーム発足後、2大会続けて公式戦初戦で敗れたことだ。8月の県新人戦、9月の秋季近畿地区大会県1次予選はともに0―1で惜敗。相手打線を1点に抑えながら、得点力不足が露呈した。

 そこで、打球が転がるのを見てから三塁走者がスタートを切るセーフティースクイズに着目。2人は「確実に1点を取りにいく戦術。どこに転がせば決まりやすいかを提示したかった」と声をそろえる。

 実験では、投球がバットに当たってから、野手が捕って捕手に送球して走者にタッチするまでの時間を計測。内野の一塁線を0度、三塁線を90度とし、本塁からの距離も区切って計36のマス目に分けた。そして投手、一塁手、三塁手のいずれかがどのマス目で捕球したかを見た。投手は右投げと左投げに場合分けし、動画による動作分析ソフトを用いながら7人いる2年生部員を被験者として330球のサンプルを集めて解析した。

 その結果、決まりやすいのは「本塁から4~14メートルのエリアのうち、一塁側の0~15度と三塁側の75~90度」と結論づけた。捕手の守備範囲を避けて投手の正面に転がすと成功率が下がった。定石とされるライン際に転がせば得点につながる可能性が高いというわけだ。

 2人は資料を自宅にも持ち込むなどして2カ月かけて仕上げた。スクイズ成功の確率が高いエリアはグラフを寒色にするなど見た目を明快にしており、学会では「持ち帰って試したい」と話す指導者もいたという。

 研究を指導した矢野健太郎監督(36)は「当たり前の結果かもしれないが、数字で裏付けたことが大きい。ランナーの足が遅くてもここに転がせば得点できる、という後ろ盾になるデータだ」とたたえる。

 藤村さんは「まさか受賞できるとは……。どうすれば伝わるか、自分たちなりに議論した結果です」と喜ぶ。中口さんは「第一はチームに還元すること。得点につながり、チームが勝っていければ」と飛躍を期している。【藤木俊治】

毎日新聞

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