裏金を語る候補、語らぬ候補 千葉3区で有権者が下す2度目の審判
8日に投開票を迎える衆院選の千葉3区(千葉市緑区、市原市)で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件に関わり、官房長官を辞職した前職の松野博一氏(63)が10選を狙う。立憲民主党と公明党が結成した新党「中道改革連合」の前職、岡島一正氏(68)は2024年の前回選挙に続いて、裏金を批判して支持拡大を図る。「政治とカネ」を巡る2度目の審判を、有権者はどう見ているのだろうか。【中村聡也、宮田哲】
◇公明支持者「みそぎは済んでいない」
「政治とカネ、決着させましょう!」
岡島氏が声を張り上げると、聴衆は「そうだ!」と応じた。
市原市のJR五井駅前で4日にあった街頭演説会。公明支持者の男性(77)は岡島氏に拍手を送っていた。「政治とカネは一番引っかかる。みそぎは済んでいないよ」
松野氏は派閥政治資金パーティー裏金事件で、1051万円の政治資金収支報告書への不記載が判明。23年12月に官房長官を辞職し、翌年に党の役職停止1年の処分を受けた。
その直後に迎えた前回選挙で、男性は党の方針に従ってやむなく松野氏を応援したが、心の中はモヤモヤしていた。公明が自民との連立を離脱した今、松野氏の対立候補である岡島氏を「スッキリ応援できる」と笑顔だ。
今回は、自民に長年選挙協力してきた公明が中道の応援に回った。公明の地方議員は岡島氏とともにマイクを握る。
前回、岡島氏は松野氏に3139票差で敗れた。1万票以上とも言われる公明票が加われば逆転の可能性があると、双方の陣営関係者が見ていた。
◇松野氏、裏金への言及なく
「従来自民党を支持していた方々だけでは乗り越えることができません」
1月30日、松野氏は市原市内の公園に集まった支持者に危機を訴え、「無党派を取らないと勝てない」と今まで以上に投票依頼に励むよう頭を下げた。
さらに、結成間もない中道を「国の基本の安全保障政策もエネルギー政策も(党内で)一致していない。政権を担えるか甚だ疑問」と批判した。約16分間の演説で、裏金に触れることはなかった。
前回選挙で、松野氏は「政治不信を招いたことを猛省する」と街頭演説で謝罪していた。今回の選挙では、公示後に記者が松野氏の演説を13回聞いたところ、裏金への言及はなかった。
「繰り返し状況を説明し、理解を頂いている」。松野氏は取材に、既に地元後援会を中心に説明を尽くしてきたと強調した。
松野氏の支持者の多くも「みそぎは済んだ」との立場だ。「評判は落ち社会的な制裁を受けた。もう話す必要はない」。市原市の女性(73)はこう話す。
◇処分から2年、有権者の受け止めは
松野氏が党の処分を受けてから2年近くたつ。有権者の見方はさまざまだ。
女性(69)は「あの程度のことは政治家ならあるだろう。松野さんは謝罪もしている」と擁護する。政治資金より、自分の暮らしに直結する物価高に関心があるという。
一方、男性(80)は「公の立場にある人は襟を正さないといけない。政治家がやってはいけないことだった」と厳しい見方をする。
3区では共産新人の渡部公美子氏(42)、参政新人の山本政幸氏(40)も出馬している。
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